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「あなたのライバルは誰?」

2020.08.21
「あなたのライバルは誰?」

仕事は常に相対的なものである。私がよく使う言葉である。例えば、あなたが世界で2番目に旨いコーヒーを出す喫茶店を経営していても、たまたま世界で一番旨いコーヒーを出す喫茶店が隣にあれば、売上は上がらない。逆に、大して美味しくないコーヒーしか出せなくても、他にコーヒーを飲める店が近所になければその店はその町の需要を独占し、売上が上がっていく。勿論、市場がどのくらいの規模なのか、或いは喫茶店などは内装などの雰囲気で選ばれることもあるので現実にはここまで単純ではないが、ある程度は通用する原則であり、シンプルだが、ビジネスの世界では普遍的な論理でもある。

 

営業の世界も例外ではなく、基本的にはライバル会社との比較で売上が決まる。(ライバル会社の営業スタッフの能力・商品の価格・スペックがどれほどのモノかは自分たちではどうすることも出来ないので、これは純粋に運だ。私が営業職の数字に短期的に最も影響を与えるのは「運」であると言うのはそういうことである。)

よく「顧客の立場に立った提案をしなさい」と営業ハウツー本には書いてあるのかもしれないしそうしたコメントをするコンサルタントや管理者は多いのだが、私が思うにそれは「顧客が喜ぶような提案をしなさい」、「独りよがりではいけない」という意味だけではないと思っている。今回はそのことについてじっくりと説明していく。

 

人は何かを評価する時は必ず他の何かと比べて評価している。もっと言うなら他に比較対象があるからこそ初めて評価が出来るとも言える。あなた自身も何かを買う時、何の比較もなく決めてしまうことなどほとんどないのではないだろうか。それと同じである。

例えばスーツや服を買う時も、決まった店の決まった店員から買うという行為は迷わず決断しているようで、実はその店で買う手軽さや無難さと他の店で買うメリットを天秤にかけて、瞬時にやっぱり「いつもの店で買う」という判断を繰り返しているに過ぎない。だからこそ、いざとなったら店をあっさりと変えることが出来る訳である。買う店を変えたのはその時初めて情報収集をした結果、よりいい店がたまたま見つかったからではない。いつもの店がどれほどお気に入りであっても他店とのパワーバランス(価格・品質・セール・品揃え)が逆転すれば、お店を変えることが出来るのは人間が何かを買う時に常に比較するという癖を持っているからであり、一つの店にずっと通い続けている人でさえも実は無意識にもっといい店はないだろうかと常に情報収集しているからである。

 

そう考えれば、営業職を含めた売り手からすると自分をひいきにしている常連や既存客でさえもいつ他社や他店に乗り替えるか分からない。だからこそ繋ぎとめる努力を最大限する一方で、常にそのリスクに備えて新規開拓をする必要があるということだ。

 

さて、それを踏まえた上で改めて聞きたい。

あなたのライバルは誰ですか?

勿論、こうした事に正解はない。いや正解は無数にあると言った方が正確かもしれない。

色んな回答が出てきて当然だと思うが、今まで私の思う回答に辿り着いた人は実は一人もいない。

ほとんどは「ライバル会社の営業マンです」と答える。

 

私個人の中での正解は「あなたの会社の前任の営業担当者」である。

当たり前であるが、あなたはあなたの会社の営業スタッフとして顧客に訪問している。個人的にいくら顧客と懇意にしていてもそこから脱却することなどできない。これはいくら優秀な営業スタッフでも転職した途端、顧客と疎遠になってしまう、もしくは以前と違って冷たくされるということが頻繁に起きることで簡単に証明できるだろう。

 

少し表現を変えると、人間は同じ共通項を持つモノを比較・評価するという習性をもつとも言える。例えば、ライバル会社の営業スタッフとあなたが比較されるのは類似商品を扱うという共通項を持つからである。

 

これは人間関係でも同じである。例えば、あなたがマンションに住んでいてマンションの右隣の部屋の住人が「いい人だ」、否かというのも無意識にその部屋に以前住んでいた住人、もしくは左隣の住人と比較した結果のはずである。そう考えれば、取扱商品が全く違う異なる業界の営業スタッフとあなたが比較されることも想像できなければならないし(顧客に訪問する営業職という共通項がある)、私が言うようにあなたの最大の共通項である同じ会社の営業担当者、つまり前任の営業担当者は最も比較されやすい運命にあるだろう。

 

だから何が言えるかというと、前の担当者が大変優秀な人間であれば、あなたが多少優秀であってもあなた自身は顧客から評価されにくく、逆にあなた自身が極めて平均的な営業スタッフでも、前任の担当者が最低の評価を受けていたら、あなたへの顧客の評価は高くなる確率が高いということだ。

(これはライバル会社の営業スタッフとの比較でも勿論言えることであるし、あなたがチームのリーダーであれば部下からの評価は以前のリーダーとの比較の中で決まる可能性は高いということになる。)

 

 

このように「人間が無意識に同じ共通項を持つ人を比較してあらゆる評価・選択をしている」ということを理解していればあらゆることに応用が出来る。

 

例えば、あなたが居酒屋のオーナーだったら近所の居酒屋だけでなく、以前同じテナントに入っていたお店の評判はどうだったかも気にするべきだろう。同じテナントに以前入っていたお店の常連客は物理的にはあなたの店に同じ頻度で通えるはずである。でもそうなっていない客は多いだろう。それは理由があるに違いない。勿論、扱っているメニューや価格帯など要望を聞いたとしても聞き入れることが出来ないことも多い。しかし、その意見を聞くことで出来る範囲で集客をすることは可能なはずである。これは一から新しい顧客を開拓するより楽で簡単な方法である。

 

営業スタッフも同様である。新しい顧客を探すより、あなたの会社を知っていて既に取引実績のある顧客からの注文を増やす方がはるかに簡単である。そう考えると、顧客が前任の担当者のどこを評価し、どこを評価していなかったのかを聞くことは最も簡単かつ合理的であり、真っ先にするべきことではないだろうか。顧客はあなたに対する高評価も不満も面と向かってあなた自身に全てぶつけることはない。でも、目の前におらず過去の人となった前任への評価を口にするハードルは低い。おそらくその不満の中には自分も同じ轍を踏んでいることもあるはずである。こんなビッグチャンスはないだろう。私が言う「最大のライバルは同じ会社の前任の営業担当者である」というのは最も比較されやすいというだけでなく、そこに勝利を得ることで最も簡単に売上を増やせるから、真っ先に攻略すべき相手だということなのだ。

 

最大のライバルは前任担当者。しかしながら、この私の言葉を最初に聞いた営業スタッフは「いやまあ比べられているとは思いますけど、ライバルじゃないでしょ」と言う。だが、私がこうしたことを丁寧に一つ一つ説明すると段々表情が変わってくる。このように最初は戸惑いを覚え、その理由を話すと腑に落ちる話というのが弊所サトミ営業相談所の最大の特徴であり、専売特許と言える。

 

 

私は他のコンサルタントさんと違い、どんな企業にも適用できるマニュアルなど持たないし、まして「これさえ読めば誰でもトップセールスになれる!」などという営業必勝法などを語ることなどない。どんな会社にも、どんな営業職にも良い効果をもたらすものなどないことを知り尽くしているからだ。目の前の企業・営業スタッフに合っていることしか提案しない。常にあくまでオーダーメイド、それが私のポリシーだ。

(その中で例外なく誰にでもある程度役に立つであろう勝率の高いモノだけをブログで紹介しているということなのである。)

 

こうしたあまり常識とはなっていないことでもその企業・営業スタッフのプラスになることをオーダーメイドで積極果敢に提案していく。だからこそ、サトミ営業相談所は日本で最も非常識で合理的な営業の専門家なのである。