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「考えれば分かるだろ!」がNGの訳。

2020.04.24
「考えれば分かるだろ!」がNGの訳。

少し前に経営者Rさんと電話で話していた時のことだ。「ウチもコロナの影響があって売り上げは去年の半分以下だ。酷いものだよ。川端さんのビジネスはそう考えたら凄いよね。むしろ問い合わせや依頼は増えているんじゃないか。川端さんの半分でいいからウチの社員も真剣に仕事に向き合って欲しいよ。ウチの社員は全然自分の頭で考えていないんだ。この前も考えれば分かりそうなことをわざわざ俺に聞いてきて、あまりに腹が立ったから『そんなこと、考えたら分かるだろ!!』って言ってやったんだ。」

 

 

私は少し引っかかったことがあったが、そこは聞き流し「そうですね。ある程度相手の状況を理解していればこうして電話で相談に乗ることも出来ますし、オンラインでパソコンの画面を通して話すことだって簡単にできますからね。昨日も相手も自宅、私も自宅でオンラインで相談に乗ったんですが特に問題ないですよ。あまり良いこととは言えませんが、コロナの影響で売上が下がって私のアドバイスを必要とする方はむしろ増えるんじゃないですかね。」とだけ答えた。

因みに私が引っかかったのはこのRさんの「考えれば分かるだろ!」という一言である。
職場においてこの言葉はよく出る。上司や管理者が思わず連発している言葉でもある。そして、言われた部下との距離を更に生んでしまう魔の言葉でもある。

 

 

 

上司が「こんな簡単なことなら少し考えれば分かるだろ!分からないのは考えてもないからだ!考えてもいないのはやる気がないからだ!」という怒りとも呆れともつかない気持ちになるのは十分理解できる。

 

 

所変わって、その言葉を繰り返し使う管理職Mさんとそのことについて話した内容に触れる。彼女は「こんな簡単なことを考えて分からないはずがないと思うんですよ。全く考えてないって分かるから腹が立つ。もし少しでも考えたら『私はこう思うんですけど、これでいいですか?』と聞いてくるはず。でも何も考えてない人は最初から「これ、どうすればいいですか?」と聞いてくる。それって能力以前にやる気の問題だと思うんです。川端さんはどうすればいいと思いますか?」

いろんな考え方があっていいと思うが、私の立場や考え方は彼女と全く違う。少し考えれば分かるほど簡単に分かることを何故その部下は考えようともしないのか?という素朴な疑問を持っていないからである。この疑問を持つことが出来ればこの問題は解決に向かって大きく前進する。

 

 

この「なぜこのような少し考えれば分かることを分からないのか」という問題はMさんの先程の言葉の中に解決のカギがある。つまり彼女が言うように「考えれば分かるだろ!」という通り考えれば分かるほど簡単なことであるから、分からないのはその問題について全く考えていないからに他ならない。惜しいのは、では何故考えるという行動に至らなかったということをMさんが考えなかったことだ。こうした事を言うと多くの方は「子供じゃあるまいしそこまでいちいち面倒見切れないよ」「そんなに暇じゃないよ」「川端さんは優しすぎるよ」と言う。

しかし、それらの指摘は全て的外れである。これらの問題はスタッフのモチベーションに直結する重大な問題である。むしろ、組織にとってそれ以上に大事なことなどほとんどないと言える。だからこそ、何故そのスタッフは考えようともしなかったのかと素朴に考えるべきなのだ。

 

 

 

考えられる原因は二つしかない。そもそもそのスタッフにやる気=モチベーションがない。二つ目は自分で考え、自分の意見を述べないことにインセンティブが働いている。(自分で考えたとしてもその意見を述べない可能性も十分にあることにも留意しなければならないだろう)

一つ目から行く。そのスタッフにモチベーションがそもそも無いのはそのスタッフが悪いのではない。私はこれまでもともとあったそのスタッフのモチベーションを奪ったのはほかでもないその組織であると繰り返し主張してきた。この管理職Mさんが原因かもしれないし、会社のルールや雰囲気なのかもしれない。
二つ目はこれもよくあることである。逆の場合を考えれば分かりやすいだろう。自由に意見が言える人はその人自身が物怖じしない性格だということもあるかもしれないが、多くの場合その場所で自分の意見を述べても自分に生じるデメリットが相対的に無い時に自由に意見を言えるだけである。出来れば尊重され採用されるのがベストだが、そこまでいかなくても頭ごなしに否定されない、自分の意見を述べたこと自体を評価されるなど主張することで生じるデメリットよりもメリットが期待出来れば主張はできる。これは誰でもそうであり、性格や価値観に関係なく、普遍的な人間の行動パターンである。これはあらゆることがそうなのだが、人は何か行動に移すかどうかを決める時、期待できるメリットと予測できるデメリットを天秤にかけ、メリットを多めに感じればその行動を取り、逆ならその行動を控える生き物だ。期待できるメリットがどのくらい大きければ行動するのかその度合いが性格によって違うだけであり、多くの人間が勘違いしているように、主張する・しない、行動する・行動しないは全てその人の持つ性格によって決まるわけではない。性格によって決まるわけではないのは、同じ人間でも主張する場面、あまり主張しない場面があることで証明できる。性格で決まると言うよりはその局面によって環境が異なり、メリット・デメリットの生じ方が違うからに他ならない。

つまり、その職場もしくはMさんの前で自分の頭で考えたことを意見するデメリットが、意見したことによって生じるメリットを上回っていると感じているという可能性があると考えるのが私の考え方である。例えば、自分の意見を述べた時に頭ごなしに否定された、或いはMさん自身が自分を評価しておらず、自分の意見をきちんと取り上げる可能性を感じないなどである。これらはMさんに限ったわけではなく、ビジネスの現場ではしょっちゅう起きている。

 

 

 

 

まとめよう。つまりこれら管理者や上司が部下に「考えたら分かるだろ」と思わず言ってしまう問題の本質は部下の最初から考えようとしないモチベーションの低さ、もしくは考えても(或いは考えて意見しても)どうせ無駄だと思わせる仕組みや雰囲気を醸成している上司もしくは組織が原因である。

 

 

こうした事も相手の立場になって少し考えれば実は分かる問題である。しかし、ビジネスの現場で一体何が起きているのかと言うと、会社や組織の上層部や管理者が「結果を出していない人間はモチベーションが低い無能な人間であり、だからこそこんな簡単なことも分からないし考えようともしないんだ」とどこか決めつけているということだ。このことは裏を返せば、モチベーションさえ上がればどんな人間でも組織に貢献できるということであり、だからこそ、そのスタッフの現時点での結果や貢献度だけで決めつけるのではなく、いかにそのスタッフのモチベーションを上げていくのかということを常に考えるべきなのである。

 

 

 

この「モチベーションを管理する」というのは聞けば当たり前のごく普通のことなのだが、私が改めてその重要性を説明すると顧客の多くは「サトミ営業相談所のオリジナルスタンスであり、斬新だ」と評価される。(それ自体は組織が人材に関して真剣さを欠いており、自分たちではビジネスに対してシビアかつドライにやっているようで、実に甘すぎる証左であると私は思っている。)

 

 

サトミ営業相談所のこの新たな発見と視点は多くのスタッフの能力を最大限に発揮し、その組織の潜在能力を飛躍的に高める手法である。だからこそ、サトミ営業相談所は優しさとプロフェッショナリズムを共存させた日本唯一の営業の専門家と呼ばれるのである。