アドバイスをスルーしていいって本当?

先日、顧問契約を結んだ顧客から「あのちょっと聞きにくいんですが・・・。川端さんにアドバイスをして頂いたことは絶対従わないといけない感じですか?」と聞かれた。
実はこうした事は結構ある。この方のようにきちんと聞いてくれた場合だけでなく、「そんなこと聞けない」と思っている方を合わせれば、コンサルタント契約を結んだ多くの顧客がこのような疑問や心配を抱いているのかもしれない。(因みに私は所謂コンサルタントではない。これまでのコンサルタントのイメージを打破するため、「営業の専門家」という職業を作り出した。)これらのことはこれまでコンサルタントの皆さんが作り上げたイメージなのかもしれない。

他の方がどのようなビジネスをしようがそれは自由である。また、従来のコンサルタントが今の日本社会に残っていることを考えれば、それなりに需要があるのだろう。だが、このようなスタンスでは救われない経営者・ビジネスパーソンの方が遥かに多い、その方たちの力になりたいと思い、私はサトミ営業相談所を立ち上げた。そして、その中の取り組みとして「前代未聞のセミナー」「むちゃくちゃな話」と企画を次々と世に出していった。そのコンセプトは全て「誰に相談していいか分からない」「相談に乗って欲しいと思えるコンサルタントが見つからない」「相談してもピンとこなかった」という経営者・ビジネスパーソンの声に応えたいと思ったことに尽きる。
冒頭の質問も顧客とコンサルタントが、まるで生徒と先生のような関係だとどこかで思っているからこのような発想になるのではないだろうか?事実、顧客から先生と呼ばれているコンサルタントは多い。

 

 

それらコンサルタントと対照的、いや真逆のスタンスを取っているのが弊所サトミ営業相談所である。私は常に顧客と一緒になって考えると言っている。決して教えるのではない。そうは言っても、顧客と全く同じ目線と言うのは多分難しい。何故なら、私がどのようなスタンスを貫いても、顧客の中にはわらにもすがる思いで教えて欲しい・助けて欲しいと思っている方もいるからだ。それでも私はこの「一緒になって考える」というスタンスにこだわりたいと思っている。顧客とはあくまで対等であり、テーブルの真向いに座って教えるではなく、出来るだけ顧客の横に座って一緒になって考えるイメージで話を聞き、アドバイスするよう心掛けている
私が知っているノウハウを教えるというより、「私の経験で言うと、私は〇〇した方がいいと思いますがいかがでしょうか。何故なら●●だからです。」という話し方をする。

 

 

だから、冒頭の質問に対しては当然「そんなことはありません。主体はあくまで皆さんです。もし私のアドバイスを実行できない場合はその時点で『それは出来ない、やりたくない』と言っていただいた方がありがたいです。可能ならその理由も教えて欲しいです。私は他の手段を考えますから。」と答える。よく「●●に正解はない」という表現を使う人がいるが、私は「正解は無数にある」という考えだ。一つや二つを出して、もうアイデアが浮かばない者は専門家などではない。まして、私は日本唯一の営業の専門家である。私に遠慮など要らない

 

 

 

こんな風に言われることもしばしばある。以前私が相談に乗った経営者Sさんは「川端さんは私のやり方を全然否定しないんですね。私がこれまで相談に乗ってもらったコンサルタントはこれが悪い、あれが悪いと言って、こう変えなさい、あれを導入しなさいと改善命令ばっかりだったので。」と疑問を私に投げかけた。私は「私は顧客が今やっていることを否定することはしません。私は今やっていることの外側に私の視点からみたベストの方法を選択肢として付け加えるというイメージでアドバイスするように心がけています」と答えた。

 

勿論、私のアドバイスが結果的に現在のやり方を否定することになることは十分有り得る。それは仕方ない。でも私のアドバイスを採用して現在のやり方を変える、または現在実行中の営業メニューを止めるかどうかはその経営者なり相談者が決めればいい。「現在のままでいきます」という判断があっても私は気にしない。何故なら、顧客は自分自身が抱えている事情やこだわりのすべてを私に話せるわけではないし、教えてもらったとしても私が全てを理解できるわけではないからだ。(様々な事情や付き合いがあって今の状態がある、このことを抜きにしてビジネスは成立しない。「全てをドライにして現実主義に徹するべきだ」などと簡単に言う者は自分一人でビジネスをやったことのない人だろうと思う。本当の現実主義とはそうした付き合いやしがらみを十分理解した上で継続する・しないと決断することであり、しがらみや付き合いや慣習を一切否定していくのはただの愚かな行為であると私は思う。)自分のノウハウをひけらかすのが目的であってはならない。顧客を大事に思い、顧客もその意思も尊重したいからこそ、最後は顧客が全てを決めるべきだというのが弊所のポリシーである。

 

これは私が優しいのではなく、現実論であり、相談者への最低限のマナー、敬意であると私は考えている。だから、「これを改善すべきだ」とは言わないということだ。私はそれほど無神経でも傲慢でもないということも付け加えたい。

繰り返すが、私のアドバイスを全て実行する必要などない。それは相談者の自由だ。気乗りしない状態でやっても効果が出る訳もない。私のアドバイスが採用されれば顧客が納得できるアドバイスが出来たと実感し嬉しいというだけで次回お会いする時に「どんなことを実行してみましたか?」といつも通り聞くだけだ。「出来ていない」でも「結局川端さんに言われたことを実行しないことにしたんです」と言われても全く問題ない。私はその理由を聞き、そこからまたベストのアドバイスが何かを考え始めるだけだ。

 

 

こんなことを顧客に説明すると「川端さんは誰よりもノウハウを持っているのに押し付けない。」とよく言われるが、繰り返しになるが、理由は私が優しいからではない。私は相談者が実行する意味や効果を理解していない、理解したくないと思っていることは効果が出ないことを誰よりも理解しているからだ。そして、勝負の世界において結果に最も影響を与えるのは何をするかではなく、実行する人がいかに高いモチベーションで仕事に臨んだかだという事も誰よりも理解しているつもりだ。「とにかくやってみろ」「騙されたと思ってやってみろ」と言われるより「こういう風にやれば結果が出そうだ」と本人が思って実行する方がモチベーションを高く持てる。当然そうした状態の方が集中力も高くミスも生まれにくいし、仮に失敗してもリカバリーが速い。当然結果につながりやすいという至極当然のことを実践しているだけだ。

サトミ営業相談所は創業1周年を迎えて「日本唯一の営業の専門家」を堂々と名乗ることにした。日本一現実的で、そして人の役に立ちたいと日々考える「営業の専門家」なのである。