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営業日報なんか、やめちまえ!

2020.01.24
営業日報なんか、やめちまえ!

先日、都内のW社のA社長と話し込んでいた時の話だ。A社長は段々興奮してきて「川端さん、ウチの営業マンは数字も悪いのにルーチンワークも出来ないんだ。営業日報もまともに出せない。そんな奴がお客さんの信頼なんか得られるわけないよ。そう思わないか?」と怒りをブチまけてきた。
私は「社長、お言葉を返すようですが私はそうは思いません。数字が悪いならルーチンワークを減らすべきです。数字が悪いからこそ出来るだけ営業活動に専念できるようにしてあげましょうよ。社長だって繁忙期に本来の社長業務以外の仕事が来たら嫌でしょう?営業マンだってそれは同じですよ」と反論した。

 

 

組織とは面白いモノでドライなものかと思いきや、相当感情的な生き物だと思う。例えば、営業の世界では実績が上がっている営業マンには基本的に会社は干渉せず自由にさせる傾向が強く、逆に成績不振に陥っている営業マンにはとにかく細かく干渉し行動を監視しようとする
こうして書くとよく分かると思うが、大いなる矛盾である。例えば、本来営業日報が営業マンと会社にとって必要であり有意義なモノならば実績に関係なく全員に同じ基準で提出を求めなければおかしい。だが、成績不振の営業マンにだけ厳しく提出と内容を求めている時点で会社は「これは本来意味のないものなんだ。だから成績不振の人間への罰ゲームであり、見せしめなんだ」と言っているに等しいと思う。

 

 

少し脱線してしまったが、本題に戻る。
営業日報なんてやめた方がいい。いや誤解を恐れずに言えば、やめちまえ!と思っている。
営業日報は自分の日々の活動を整理し、社内で情報を共有化するためのツールだが、あまりに細かく或いはきちんとした内容やフォーマットを求めると提出すること自体が目的化してしまい、いい加減なことを書く、下手をするとウソを書いてしまうということが頻繁に起きる。或いは上司がその内容を読んで営業マンの行動一つ一つにネガティブな指摘をし始めると、更にそういうベクトルが強く働く。結果、誰に読まれても問題ないモノとなり、ウソが横行するわけだ。典型的な本末転倒なパターンと言えるだろう。

 

 

 

 

理由もなく何となく存在している常識やルールは成長を阻害し、営業マンの成長のエンジンであるモチベーションを奪う。これはこれまでも繰り返し言ってきた。だが残念ながら、組織である以上こうした無駄がゼロになることはない。ある程度は仕方ない。でも、管理者やリーダーに、こうしたことを減らし営業マンに営業活動に専念してもらうという当たり前の環境を整える意識を持ってもらうだけで随分と違うのに実に勿体ない

 

 

今回、営業日報を取り上げたのは、営業の世界における「目的を見失ってしまっている提出書類・ルーチンワーク」の典型例だからだ。(営業の世界以外でもこうした業務は枚挙にいとまがない)営業日報の目的は各企業それぞれ少しづつ違うかもしれない。直属の上司が営業マンが営業活動にどう取り組んでいるかを知りたいだけなのか、社内で営業マンそれぞれの成功例・失敗例を共有したいだけなのか、或いは営業マン自身が自分の行動を振り返りまとめることで自身の営業活動にプラスに利用してほしいのか。だが、営業日報を提出する現場で何か起きているのかというと、繰り返しになるが、ウソ日報である。ウソを書いた営業マンは悪いが、私はこの時点で目的を見失っていると思う。また、その提出書類と呼ばれるものが一体何の目的で課せられているのか、全員が同じ答えを持っていなければ意味が無い。私が見る限り、こうした簡単な情報共有もないまま、提出書類を課しているから、目的が見失われ提出することそのものが目的化してしまうのだと思う。

 

 

そもそも論であるが、営業マンへの提出書類は極力ゼロにした方がいいと私は思う。(当然の話だが、営業活動に本当にプラスに働くことなら営業マン自身が自主的にやっているはずだ。)営業マンはモノを売ることが本業であり、そのための活動に専念した方がいい。それでも、営業日報などの提出書類を課すのであれば、それを作成しない場合には営業活動に充てられたであろう時間やエネルギーを上回るモノを上司や組織が営業マンに提供しなければならないのではないだろうか。このように筋道を立てて考えれば簡単にわかる話だが、それ一つで営業マン個人に対して、或いは組織全体に利益を落とすようなルーチンワークなど恐らく存在しない。少なくとも私は見たことが無い。ただ情報を共有したいだけならば暇な時間に上司に訪問先で得た情報をLINEやメールで送るくらいで十分であり、それくらい気軽に送れる方が情報は集まるはずだ。私自身も「今日の営業日報はボリュームが少ないね」と直属の上司に言われたことがあるが、全く意味不明である。営業活動をやっていれば、何の収穫も新しい情報もない日などいくらでもある。毎日コンスタントにある方が不自然だと思うがどうであろうか。

まとめよう。営業日報なんかやめちまえ!ルーチンワークを現場に課すのなら、いったいどういう目的でやるのかを明確化し、作成した本人にどういうメリットがあるのかも明確にすべきだ。

一見細かいようだが、このルーチンワークへの考え方は仕事の本質が問われる重要な部分であり、一歩間違うと組織全体に多大なダメージを与えかねないシビアな問題だ。

「とりあえず営業日報くらいちゃんと書けよー」という上司の軽い気持ちは、それでも最低限真剣に向き合わねばならない営業マンに対して失礼であり、その結果として課され続けるルーチンワークはモチベーションと時間とエネルギーを奪う悪魔である。それくらいの気持ちでルーチンワークを課してほしい。

サトミ営業相談所はただ企業の上層部におもねるのでなく、時には現場の営業マンの気持ちを代弁し、そのモチベーションを高めることで最終的には企業に結果をもたらす、思いやりのあるプロフェッショナルなのである。