目から鱗のハウツー営業【ロープレをお勧めしない理由】

 

 

あなたは
ロープレをしたことはありますか?
 

 

恐らく多くの営業職は経験があると思います。

 

少なくともロープレという単語を耳にしたことはあると思います。

 

そのくらいロープレは営業の世界では伝統的に取られているトレーニング手法であり、王道の練習法とも言えると思います。
 

 

改めて紹介しますと、
ロープレとは、営業職が営業職役を、
他の同僚や先輩、上司などがお客様役を演じて行う模擬商談です。

 

特に営業経験の浅い、あるいは全くない営業職に対して実施する場合が多いと思います。
 

 

 

会社によってロープレに対する考え方は異なり、
積極的に行う会社もあれば、
全く行わない会社もあります。

 

また管理職の方針や考え方によって実施する、しないに差があります。
 

 

 

私も新卒で入った出版社では何度も何度も繰り返しやりました。

 

 

入社直後の研修期間中は支店長監修の元で、
同期メンバーとかなりの時間を費やしてやりましたし、
営業活動を開始した後も時折集合し、何時間と繰り返しやりました。

 

当時は営業職役をそれぞれのメンバーが代わる代わる務め、それ以外の同期の営業職がお客様役を務め、慣れてくると支店の責任者であるA支店長自らお客様役を務めてくれました。

 

しかし、転職後のその他三社では一度もそうしたことを課せられたことはありません。
 

 

皆さんの会社ではいかがでしょうか?
 

 

そして、みなさんはロープレについて
どのようなご意見をお持ちでしょうか?
 
 

 

まず結論から言いましょう。
私は「ロープレはする必要がない」と考えています
 
 
今回はその理由を一つ一つ丁寧に解説したいと思います。

 

 

 

 

 

理由①練習効果が実戦に遠く及ばない

 

 

第一の理由として、
ロープレをするより、
通常の営業活動を行う方が、
ロープレをするよりもはるかに商談が上手くなる、と考えているからです。
 

 

練習としての効果という面から見ても、
実戦を上回る練習なし、商談を上回るロープレなし
ということです。
 
 

 

そして見落としてはいけないポイントとして挙げたいのは、
恐らくロープレを実施しているのが主に日中であるという点です。
 

 

だとするならば、営業活動が出来る時間を削って、
ロープレを実施しているということになります。

 

管理職の皆さんは
営業活動を中断させてまでやる効果(ここでいう効果とは商談スキルの向上)があるのかという視点で、検証して欲しいと思います。

 

(逆に言えば、仕事を終えた後や休日に
自宅にて一人で練習する、
自宅で家族を相手にロープレをする、
というならまだマシだと思います。

 

それでもマシという範囲であり、おススメはしません。
この理由は、この後説明します)
 
 

 

確かに社会人なりたてと同時に営業職デビューした営業職の話や商談は
お客様にとっては分かりにくく、聞きにくいモノでしょう。

 

管理職や会社が
「お客様に恥ずかしくない、
または迷惑にならないレベルにしてから外に出したい」
と思うのも分からなくはありません。
 

 

実際に、
『ロープレによって自信がついた』
『緊張しなくなってきた』という営業職もいるでしょう。

 

私の同期にもそういう人は確かにいました。

 

 

ですから、ロープレ自体が全く無意味とは言いません。
 
 
 
 

 

しかし、商談は生き物です。

お客様はそれぞれ持ち合わせている価値観も性格も異なる上に、
お客様自身のその時の状況(機嫌が良い、悪い、多忙など)も大きな変数となります。

 

元々予測不可能であり、ロープレでその反射神経や対応力を養うことは出来ません。

 

こうしたモノは実戦でしか育めないモノである同時に、
営業職にとってどうしても必要な要素です。
 

 

どうしても実際の営業活動と比べて緊張感を欠くロープレをするよりも
生のお客様と直接コンタクトを取る営業活動の方が練習になりますし、
単純にお客様と触れ合う時間が増えれば契約のチャンスも広がります。
 

 

このように考えると
日中の時間を削ってロープレをするのは
営業活動による契約獲得のチャンスを奪う、
最大のトレーニングでもあるお客様と触れ合う時間を奪う、
二重でロスであると思います

 

 

まとめると、
ロープレは比較的練習効果の薄いトレーニング方法であり、
ロープレをする時間があったら営業活動をする方がマシ、
ということになります。

 

 

 

 

理由⓶ロープレが上手くなっても契約は増えない

 

 

二つ目の理由です。

 

根本的な論点ですが、
仮にロープレが上手くなっても、
それが直接契約を増やすことに繋がらないためです。
 

 

ロープレを同期のメンバーで実施した人ならば気づいたと思います。
ロープレの上手さと契約の獲得数は必ずしも比例しません。
ロープレが上手いのになかなか契約を取れない人がいる一方で、
ロープレは下手なのに契約を次々と取ってくる人もいます。
 

 

「えっ?なんで?」そう思っていた人も多いと思います。

 

私も当初そう思っていました。

 

ですが、これも営業という仕事を理解していれば、
当然の結果だということが簡単に分かるはずです。
 

 

ロープレの上手さと契約を獲得する力が比例しないというのが、
最も自然で無理のない解釈です。
 

 

もう少し論理的に考えれば、
1⃣ロープレの上手さと商談の上手さは比例しない
2⃣商談の上手さと契約獲得数や売上は比例しない、
3⃣、1⃣2⃣両方が起きている、
のいずれかだと考えればいいと思います。
 
 

 

そして、
このことが多くの営業職が犯している営業という仕事への誤解であり、
勘違いの元です。
 

 

例えば、1か月間でアプローチしたお客様をリストアップしてください。

 

大半は商談まで至っていないと思います。

 

電話で断られた、資料を送っただけで止まっている、
送ったメールを無視された、こんな場合がほとんどです。

 

勿論扱っている商品や業界によってばらつきはあると思いますが、
営業活動の多くは商談手前で頓挫しています。
 

 

商談だけが上手くなったとしても、
その商談の機会を増やすことが出来なければ
多くの契約を獲得することは難しいでしょう。
 

 

つまり、
たとえ商談スキルが向上してもそれを発揮する場面が少なければ
契約獲得数は増えない。

 

せめて
『どのようにすれば、商談の機会を増やすのか?』
という点も合わせて、
自身の営業活動を改善する必要があるのではないでしょうか?
 

 

そして、これは一つ目の理由でも該当する事ですが、
生のお客様が相手であることによる予測不可能な動きへの対応も
ロープレでは養うことが難しい、という点も付け加えなければならないでしょう。
 

 

まとめます。
例えロープレが上手になっても商談スキルが向上する訳ではない、
その上仮に商談スキルが向上したとしても契約が増える訳ではない

ということです。
 

 

 

 

理由⓷誤った認識を植え付けてしまう

 

 

三つ目の理由です。

 

ロープレを実施することは、
結果としてそれを繰り返し課せられた営業職に
「営業職にとって最重要課題は商談スキルの向上」という誤った認識を植え付けかねない、という点です。
 

 

契約獲得数に最も影響を与えているのは
どれほど多くのお客様に(認知度)
どれほど好感を抱かれているか(好感度)です。
 

 

その営業職が持つ好感度の総量と言い換えてもいいと思います。

 

 

そして、これに最も直結しているのがアプローチ量です。
 

 

商談が上手だろうと、
話が上手だろうと
数字がパッとしない営業職が一定数存在するのも、
商談が下手でも、
話が下手であろうと、
数字のいい営業職が一定数存在するのも
こうした事情によるものです。
 

 

ビジネス書や営業本、SNSでの営業系の発信をいくら読んでも
数字が好転しないのも同じ理由です。
 

 

そして、
こうしたことは商談スキルそのものではなく、
商談前後の行動によって決まっています。
 

 

明るく笑顔でお客様に挨拶をする、
笑顔で退出する、
お客様に親切丁寧に対応する、
約束を守る。
 

 

商談の時間を取っていただいたことに感謝する。

商談を終えた後のお礼とフォローを忘れない。

他の方を紹介していただいた時は丁寧にお礼を言う。

約束を守る。
 

 

面白くもなんともない素朴な結論に思えるでしょうが、
アプローチをシンプルに増やし、
真面目に誠実にお客様に接していく、
こうした活動を粘り強く少しでも多くのお客様に行っていく、
このことを徹底することが商談のチャンスを増やし、
また商談においてお客様が真剣に話に耳を傾ける状態を作ります。

 

そして、それが最も契約を生む力になります。
 

 

上手くなっても数字に直接影響を与えない商談を必死に練習しますか?
その商談さえも実際のお客様との会話に比べれば、
上手くなる効果の乏しいロープレのために営業活動の時間を削りますか?
 

 

これが、私がロープレを勧めない理由です。
 

 

 

 

最後に・・・

 

 

そして、最後に付け加えるなら
何よりロープレを何百回繰り返すより、
通常の営業活動を行う方が契約に繋がるからです。
 
 

 

ロープレを行う目的は
【商談スキルUPによる契約獲得数、売上の最大化】
であるはずです。
 

 

ならば、契約を生む営業活動を優先してください。

 

管理職は営業職の自己成長を信じ、契約獲得に集中させてあげてください。
 

 

契約の獲得こそ、
営業職の最大のやりがいであり、
最高の気付きであり、
モチベーション維持装置であり、
エネルギー源です。

 

それを何よりも大切にしてください。