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銀座の女が教えてくれたこと

2021.01.15
銀座の女が教えてくれたこと

今回はTwitterを通じて知り合い、あらツイを経て、何度かお会いした銀座のナンバーワンホステスゆりさんを紹介したいと思う。私がブログの1記事を割いて、一人の方を紹介するのは今回が初めてである。何故彼女を紹介するかと言うと、昨年出会った方の中で最も見事なスーパープレーを見せ、かつ最も尊敬する人として私が彼女を挙げているからである。そして、実はもう一つあるのだが、それは最後に譲りたい。

 

※あらツイ:Twitterで知り合ったメンバーで、偶数月に地元荒川区の名店あんじゅにてお酒を飲むまちおこしを兼ねた異業種交流会。

 

まず、私が昨年最も『なるほど!』と驚嘆したゆりさんのスーパープレーを紹介しよう。それは飲み会において、途中で帰ってしまうことである。それも1時間も経たないうちに帰ってしまう。時には30分で帰ることもある。

 

これはその時、実際にあったメールのやり取りである。

ゆりさん「今日は30分ほどでお暇させてください。もちろん、参加費はそのままで大丈夫です。せっかくゆっくりお話できると思ったのに・・申し訳ありません。」

川端「30分の為に参加するのも大変でしょうから、キャンセルしてはいかがですか?」

ゆりさん「少しでも皆さんにお会いしたいので、ご迷惑でなければ参加させていただきたいです。」

そして、彼女は移動に30分以上かけ、本当に30分だけ参加し、私達と同じ参加費を支払い、帰っていった。勿論、彼女の真意は分からない。とりあえず顔を出す程度で十分であり、最後までいる価値のない会と思っての行動かもしれないし、予定と予定の間の時間つぶしかもしれない。それは彼女自身にしか分からないことなので、詮索する意味はないだろう。

(因みに私は他人の真意や本音などはほとんど詮索しない。真意や本音など本人しか分からないし、特に考えもなく直感的にあるいは何となく取った行動などは本人すら何故そう行動したのかは分からない。そう考えると他人である私たちがいくら考えても分かる訳がなく、予想したところで無意味だ。私が見ているのは実際に取った行動そのものである。また、相手が信頼に足る人物かどうかは、その人が約束した事をいかに守るかどうかを見て、判断するのが一番合理的である。仕草や表情や言葉などから推測するより、はるかに打率が高い方法だと思っている。)

私がまずうなったのは、短時間でも顔を出すという行動を彼女が躊躇なくできることである。そして、何より一見突飛に見えるその行動が、私たち自身も驚くほど爽やかな印象を残すことに成功していることである。

 

説明しよう。

飲み会などの集まりにおいて、恐らく多くの方は遅れていくのも早めに帰るのも抵抗があるはずである。これは性格によるところが大きいが、やはり気まずいと思う方が大半だろう。まして、お店に来てから「急な仕事が入って・・・」と仕方なく途中で帰るならまだしも、最初から30分ほどしか参加できないと分かっていて参加するなど通常なら考えられないことである。しかし、彼女に迷いも抵抗もない。その証拠にその後も短時間で帰っていく場面に私は遭遇している。数回しか会っていないにも関わらず、複数回こうした事があるのは彼女がこうした行動を取ることに迷いがなく、日常的に取っている行動と考えてまず間違いないだろう。

しかし、そうした行動を取ったこと以上に驚いたのは、「じゃあ、これで失礼します」と彼女が店を後にした瞬間、自分が抱いた感情であった。それは「可能な限り、顔を出してくれたんだな」という感謝と賞賛が入り混じった思いだった。おそらく、私以外の参加者も同じ思いだったのではないだろうか。私はこういう気付きそうで気付かないことに気付く、そしてそれを行動に移せる人が真に頭のいい人だと思う。これが昨年、私が公私ともに最も驚かされ感心したスーパープレーである。

 

だが、彼女の魅力はこの話だけでは語り尽くせない。

あらツイで飲んだ時も、Twitterで知り合った友人と三人で飲んだ時も、あらツイメンバーと忘年会を開いた時も、彼女は銀座のホステスの仕事について何度も同じような質問を受けていた。それはそうだろう。参加者にしてみれば、現役の銀座のホステスと話す機会などそうはない。でも、彼女はそうした何度となく繰り返される質問に対して、全く嫌な顔をせず、実に丁寧に分かりやすく答えていく。こうしたこともなかなか出来ないことである。だから、あらツイでも彼女は常に人気者なのだろう。それは彼女が美しいからでも、話が面白いからでも、まして銀座のホステスという肩書を持っているからでもないと思う。それはそうした人間としての懐の深さと魅力を皆が感じ取っているからである。一円の売上にもならない、興味本位で聞かれた自分の仕事への質問に構えることなく、自然体で答え続けることが出来るのは本当に素晴らしいことだ。そうそう真似のできることではない。

しかし、いざ仕事の話になると、非常に鋭いプロフェッショナルとしての一面も見せる。相当にこだわり抜いて、仕事に取り組んでいることもすぐに分かる人でもある。何より、自身が仕事に対してひたむきに努力していることを決して隠そうとしないところもとてもカッコいいと思う。

 

最後に冒頭に約束した、彼女を取り上げたもう一つの理由を述べる。

(私が今回彼女を取り上げたのは、彼女が「銀座のホステス」という華やかな肩書を持っているからではない。ここまで読んだ方はそれを理解しているはずだと信じる。)

 

今、SNSを中心に飛び交うビジネスの考え方、テクニックやスキルを追い求めていくスタイル、そして「ビジネスはお客様の為にやるもの」という美しくスマートなコンセプトで彩られた考え方に、彼女の存在そのものが一つの大きな示唆を与えてくれると考えたからだ。

確かに高いテクニックやスキルを駆使する人間はスマートでカッコいいだろう。「ビジネスはお客様の為にやるもの」と言われて、「そんなのおかしい!」と反論する者など稀だろう。だが、仕事は本来そのように美しくてスマートなモノではない。誤解を恐れずに言えば、非常に泥臭いモノである。

 

これは彼女のような一見華やかに見える仕事も例外ではないはずである。

むしろ彼女のように一流の人ほど、自身のテクニックやスキルにうぬぼれることなく、今日という一日に出来ることを着実にやり、とにかくその局面において常にベストを尽くすことに最もこだわっているのではないだろうか。テクニックやスキルの習得や「お客様の為になること」はあくまでその結果、自然と生まれるモノであって、それそのものをゴールとして設定するモノではない、私はそう思う。

確かに長い間接客業に携わってきたゆりさんは話すテクニックも聞く技術も相当に高いし、お客様の為にもなっているはずだ。これは会って少し話せばすぐに分かることである。だが、繰り返しになるが、こうした技術や技能、お客様満足度が高い人ほど、誰に言われるでもなく不断の努力を積み重ねていく事に最もこだわり抜いている人である。私はそう思っている。

 

彼女のひたむきさや真摯に生きる姿勢は今を生きる全ての人に、スマートに生きようとするのでなく、ひたむきに人生を生きることの大切さとカッコよさを教えてくれる。

これが私がゆりさんを紹介した本当の理由である。