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商談(会話)に必要な力

2021.01.08
商談(会話)に必要な力

少し前だが、ある営業職の方から「川端さん、商談において必要な力というか要素って何だと思いますか?川端さんに同行営業して頂いた時に、川端さんが話し始めるとお客様が急にメチャクチャ聞き入っていたので、自分と何がどう違うんだろうと思いまして・・・」と聞かれた。

 

私は商談を円滑に進めるために特殊なスキルやテクニックなど必要ないという立場である。何故なら、商談を円滑に進めていけるかどうかのカギを握っているのは、一撃必殺の営業テクニックや上手い話し方の有無ではなく、お客様との人間関係の構築がいかに実現しているかだからである。

 

そして、それには何も特別なことをする必要はない。お客様とコミュニケーションを取り、交わした約束を守り、言いやすい話も言いにくい話もきちんと相手に伝え、要望に耳を傾け、商談においてはお互いの立場の違いを明確にし、それを近づける努力を行う。この繰返しを地道に続けるだけである。しかし、ほとんどの営業職はこれができない。そして、大半の営業職は自分自身が必要だと思っている定期訪問や新規開拓のアポの電話、商談を終えた後の更なるアポの電話、一見どの営業職にも出来そうなこれら一連の動作を漏れなく継続して行うことが出来ない。忙しさやモチベーションの低下や妥協によって、必ず抜けが次々と起きる。

そして、何よりお客様との約束を守ることが出来ない。つまり、実は大半の営業職は商談のスキルよりはるか手前で自らミスを犯していると言える。『いやいやお客様との約束くらい守っていますよ!』と言われるかもしれないが、こうしたことはどうだろう。

商談の時間や納期の回答などの約束は守っていても、『「急ぎじゃないけど・・・」「出来たらでいいんだけど・・・」と前置きされた依頼、実現が到底難しそうな要望の回答、どう見ても売上につながりそうにない依頼や質問の回答、依頼したお客様自身が依頼した事を忘れているように見える依頼、正直に言うのがはばかれるような回答、こうした事も約束としてきちんと守れていますか?』と聞くと、『まあ確かにそこまでは出来ていない時もありますね』と答える営業職の方が多い。

(一方で、誰もが出来そうなこの一連の動作さえしていれば結果がおのずとついてくると私が言えるのは、こうした事が出来ない営業職が大半であるということが事実としてある。もしこうした事を営業職の誰もがクリアしていれば、もっと高度な戦いになるに違いない。少なくとも、基本的なことさえやっていれば結果が出ますというアドバイスでは足りなくなるだろう)

 

勿論売上につながりやすいか、大きなマイナスを防ぐことに繋げられるかという観点で優先順位をつけることは当然である。しかし、私はこうした約束もビジネスの現場で交わしたモノは全て約束と捉え、きちんと守るべきだと相談者には伝える。何故なら、何がどう売上につながり、見えないマイナスを生み、気付かないだけで大きなチャンスを失うことになるのかは誰にも分からないからである。答えにくい、答えやすい、優先順位が高い、低いはあくまで営業職側の都合であり、期限の切られたモノはどんな場合でも守らなければならないし、守れない場合は守れないことを伝えるのは当然だ。「急ぎじゃないけど・・」と言われても相手が経過を許す時間の基準が営業職と同じだとは限らない。本来であれば「いつくらいまでに回答すればいいですか」もしくは「2月15日までに回答すれば問題ないでしょうか?」と具体的に聞く方がよほど親切で無難である。こうした事は難しい事でも何でもないが、こうしたことをきちんとできる営業職は私の感覚では全体の1割未満だと思う。まずはそこから手を付けた方が結果への早道であるし、裏を返せば、結果を出す営業職の共通点は商談のスキルやプレゼン能力が高いことではなく、こうした基本的なことが自然とできることにある。

 

しかし、こうした事が出来ていて結果を出す営業職が更に高いレベルを目指したいのであれば、私の「スキルなど必要ない。まずはこうした基本から始めましょう」というアドバイスでは相当物足りないはずである。

 

 

新しい1年の始まりだ。しかも、今回は新年1発目のブログである。

だから、今回は既に結果を出している営業職にも、これから結果を出したい営業職にも参考になるかもしれない話として、商談に必要な力についてお話したい。

その目的は、商談を円滑に進める人は何が優れているかを分析する事、そして自身が商談をより円滑に進めるためにはどのように商談という局面を捉え、どのように解析すべきかを理解することである。

 

商談=会話、営業職=自分自身、お客様=会話の相手と置き換えて頂ければ、会話に必要な力として読んで頂いても、差し支えない内容だと思う。

 

私が現時点で商談において必要な力は主に4つあると思っている。

(私とて日々成長している。これが今後変わるかもしれないことはご了承頂きたい。)

 

まずは

「聴く力」である。「聞く力」ではないことに注意して頂きたい。

(一般的には商談において「聞く力」とは、「お客様のニーズを聞き出す力」と思われているが、私の定義にはそのようなモノはない。何故なら、繰り返しになるが、相手の意見や要望や条件を聞き出すのにテクニックなど特に必要ないからだ。

一言「ご要望やご意見やご条件はどんなことですか?」と聞けばいいからだ。勿論、聞き方の上手い下手はあるが、根本的にはそこで教えてくれるか否かは聞き方や聞くテクニックというより、営業職とお客様との間の人間関係がどれほど構築されているかという部分の方がはるかに大きい。もっと言うなら、営業職とお客様として向き合っている以上、どんなに懇意にしていてもお客様は全ての情報を営業職に開示することなどほとんどない。だからこそ、関係を今より少しでも深める不断の努力を行い、何度となく聞き続けるということが必要である。)

 

私の言う「聴く力」とは単純に相手の言葉を正確に聞き取る力である。営業職自身も気付いていないが、実は商談において聞き間違いや記憶違いによる勘違いや誤解は結構ある。記憶違いに関してはメモを取ればいいのだが、商談中全てメモを取るのは不可能である。何十分という商談の中で飛び交う情報や数字や単語を正確に聞き取り、いかに正確に情報として把握できるかどうかは重大なことである。この力はトレーニングで高めることは難しいため、向上は難しい。だからこそ、お客様の言葉を聞き取れなかったり、曖昧な場合は商談の腰を追ってでも、「●●とおっしゃいましたか?」「今、なんとおっしゃいましたか?」と本来は聞き直すべきである。難しければ、商談のきりのいいところで「ちょっと整理させて頂いてもよろしいでしょうか?」と確認すべきだ。それも難しければ商談が終わった後、商談相手にメールを送り、今日の商談において自分が把握したことを送り「こちらで間違いないでしょうか?」と聞くべきである。しかし、お客様の心象を考えれば、現実にはなかなか難しいだろう。だが、こうした認識の違いが積み重なり、やがて商談の方向性や提案に大きなズレが生まれる要因になることは憶えておいた方がいい。何度となく、聞き返すことも確認することもなかなかに難しいからこそ、この「聴く力」は実は相当重要な力であると思う。

 

 

 

二つ目は「話す力」である。『これは同じ話をいかに聞き取りやすいスピードで、聞き取りやすい声でいかに流ちょうに話すか』、という力である。いかにアナウンサーのように話せるかという力と言えば、イメージしやすいだろう。当たり前であるが、全く同じ話をお客様に聞いて頂くのであれば、こうした力が高ければ高いほどお客様は営業職の話を理解しやすい。これはトレーニングでいくらでも矯正可能である。4つの力の中では恐らく最も自身の努力で向上させることができる力だろう。ただし、あくまで同じ話をした場合において、相対的に効果を発揮する力であり、何をどのタイミングでどのように話すかという事の方が契約締結に大きな影響を及ぼす。だから、4つの力の中で最も向上できる力であると同時に、商談において最も影響力の小さな力であるとも言える。アナウンサーのようによどみなく流ちょうに商品説明が出来るのに結果を出せない営業職が一定数存在するのも、逆に話は決してうまくないのにお客様との人間関係だけで結果を出せてしまう営業職が一定数存在するのもこうした理由による。

 

 

 

三つ目は「感じる力」である。単純にお客様の態度や言葉の端々から「興味がない」「興味がある」「前向き」「前向きじゃない」などを正確に感じ取る力である。これは努力によって向上するというより経験によって向上するかもしれない力である。最近、巷で盛んに言われている「傾聴力」に一番ニュアンスは近いかもしれない。残念ながら、これの向上が難しいのは、向上したのかどうかを検証するのが難しいことである。例えば、「聴く力」についてはお客様自身が言葉に出したことと営業職が聞き取ったことが一致していたかどうかを確認するだけなので、出来なくはない。だから「聴く力」は自分自身で検証は出来る。しかし、この「感じる力」は検証するのが難しい。因みに、私は検証できないモノを向上させる努力を重ねるのは時間と労力の無駄と考えて、この「感じる力」については向上させる努力の一切を放棄し、お客様に真意を聞き続けることで補うことにしている。

 

4つ目は「伝える力」である。これは「話す力」と似て非なるモノである。説得力とほぼ同義のモノと捉えてもいい。複数の営業職がそれぞれ全く同じ商品やサービスや内容を伝えているのに、話し方や言葉や表現の選び方、そしてそれらをどのタイミングでどう使うかによって、伝わり方が大きく異なる。その差そのものと定義すべきだろう。これは「聴く力」「感じる力」からの影響も強く受ける。当たり前であるが、正確にお客様の話を聞き取り、お客様の心情を正確に感じることが出来れば、伝え方に良い影響を与えるからである。これは「感じる力」と同様、検証不可能なモノに見えるが、「感じる力」よりも検証しやすいモノである。何故なら、営業職自身が「これを伝えたい」というような時は商談のクライマックスであり、自身もスイッチが入る場合が多く、それはお客様にも伝わることが多い。結果、それが伝わったのかどうかはお客様の表情や反応で意外と分かる。

 

これで全て挙げた訳だが、これが勿論唯一無二の正解だとは思っていないし、そんなものなど存在しない。私なりの商談への考え方、整理の仕方が現時点ではこうであるというモノを披露したに過ぎない。大事なのは、自分の商談をどのように解析し、どの部分を向上させようかと工夫することであり、その努力をするのに自分自身の頭が整理されることである。そして、その努力や工夫が商談に良い展開を生むことである。

 

また、このように4つ挙げると、その優先順位を聞いてくる方がいるが、そんなモノもない。営業職自身が最も自信を持てる力をどう生かすかという視点を持っていればそれでいい。そのどれもが、同じ程度優れている営業職などいない。それぞれに強弱があり、また弱い力を相互に補うことも出来る。例えば、「感じる力」が低い方はお客様との人間関係を深め、普通に「教えてください」と聞けば済む話である。私は全て高めるのは早い段階で諦めた。全てを高める努力をするのでなく、自身がどの力が相対的に高いかを把握し、どういう風に話を進めていけばその力を発揮する局面に持っていけるのかという必勝パターンを作り、或いは弱い力をどのように補っていくかを知る方がはるかに勝率が高くなるからである。

 

ただ、これらはあくまで同程度お客様との人間関係を構築した場合に差を生むという前提に則って考えるべきものである。そして、その点をクリアした上で、このように考えて商談のスキルの向上に役立てるべきだと説いたモノであって、契約締結に最も影響を与えるのはあくまでも「お客様との人間関係の構築」であるということは忘れてはならないことである。

 

正解は無数にある。今年もサトミ営業相談所は私自身の正解を惜しげもなく披露することで、皆さんそれぞれの正解を皆さん自身の手で導き出すお手伝いをする。

それ故、日本初にして、世界最強の「営業の専門家」なのである。