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目から鱗のハウツー営業【人の話の聞き方・受け止め方】

2022.11.02
目から鱗のハウツー営業【人の話の聞き方・受け止め方】

今回は『人の話の聞き方・受け止め方』について解説します。
 

 

 

これはビジネスにおいては勿論、プライベートにおける人間関係においても大変大切なことです。

 

しかし、意外なほどこのことを理解している方は少ないと感じます。

 

そこで今回はこのテーマを取り上げたいと思います。
 

 

 

 

 

相談時、私が必ず伝えること

 

 

まず今回伝えたいことをイメージして頂くために、私が個人の営業職から相談された時に必ず最初に伝えることから話します。

 

(勿論「どうやったら自身の売上を増やすことが出来るのか?」という相談です)
 

 

 

相談してくれた営業職をWさんとします。

 

私はWさんに最初に伝えるのは
「今回私から見えるWさんの状況は全体の約33%です」ということです。

 

これでピンと来た方はこの記事を読む必要はないかもしれません。
 

 

そして付け加えます。

 

「本来はWさんが所属する会社、そしてお客様、勿論Wさんご自身、この3者の意見が揃って初めてWさんの状況の全体像が分かります。

しかし現時点ではWさんからしか話を聞くことはできません。
 
ですから、私から見えるWさんの状況は大まかに言って、全体の33%( 3分の1)ということになります。」
 

 

これは言うまでもないことですが、私は自らのアドバイスに自信がないからこのようなことを伝えている訳ではありません。

 

事実を伝え、その上で私のアドバイスをどのように受け止めるべきかをWさん自身で決めていただきたいからです。

 

 

 

 

営業に関する悩み

 

 

営業職の方の悩みは以下3点にほぼ分類されます。
❶自社(製品や商品のスペックが他社と比べて劣っている、価格帯が高い、売りにくい体制、ルールについて)
❷お客様(市場全体の問題、景気が悪い、個別の要望や要求が厳しい、他社との結びつきが深い)
❸自分自身のやり方・行動・考え方
 

 

お気づきのように、これは立場が変わって、営業所長や営業部門の責任者が相談者であってもほとんど同じです。
 

 

また相談者が経営者であっても
❶自社=部下(部下が結果を出してくれない、部下が指示通り動いてくれない)
となるだけです。

 

 

自身を含めた3者(自分自身を除いた2者+自分自身、と言い換えてもいいかもしれませんが)、厳密に言えばこれにライバル企業の動きによって、売上が決まっており、自分の立場がどこにあるかが異なるだけでその本質は同じです。
 

 

ですから、私が営業職に相談していただいても、3者のうち1者からしか意見や状況を聞けない以上、その営業職の状況は最大でも33%しか分からないということになります。

当然持っている課題も把握できる範囲はその程度に限られます。
 

 

一方で、確かに相談者の状況把握が完璧で、他の2者に聞いても全く同じ説明が返ってくることは論理的には有り得ます。

 

しかし、どんなに優秀なビジネスパーソンでもこういうことはほとんど起きません。

 

それくらい自身の状況を客観的に見るということは難しく、お客様をはじめとして自分以外の人間が考えている事や感じていることを正確に把握するのは至難の業だということです。
 

 

経営者が部下の気持ちが分からないように、営業職も上司や経営者の考えていることなど分かりませんし、理解することはもっと難しいはずです。

 

本来は味方であるはずの自社の人間の頭の中でさえ分からないのです。

お客様の頭の中はそれ以上に分からないのも当然のことです。
 

 

そして、会社・お客様・営業職の3者の意見を聞いて、ようやく現時点での状況や問題点の全体像が見えるのに、実際に3者の意見が最初から出そろうことはまずありません。

 

ですので、私はそれを相談者の現状を正確に知るためにこそ、他の2者からも話を聞きたいと一度は要望します。
 

 

ただ相談者が個人の営業職であれば、現実的には難しいです。

 

営業部門のリーダーや経営者が「今後の営業戦略を一緒に作りたい」と相談された場合は、可能な限り実際に営業活動を行っている営業職の方との面談をセッティングしてもらいます。

 

これは私が説明すれば、ある程度は実現します。
 
 
かなり脱線してしまいましたが大事なことなので、丁寧に解説しました。

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

まとめますと、売上に関する悩みは、営業職、会社、お客様のいずれかに関する事に分類されます。

 

そして、登場人物も大まかに分ければ、この3者です。(本当はこの3者にライバル会社の存在が加わります)

 

そして、相談者がそのうちの1者でしかない以上、私が分かる範囲は最大で33%(3分の1)です。

 

こうした理由から、私のアドバイスは「どうやったら売上を増やすことが出来るのか?(どこに課題や問題点があるのか?)という疑問に対しては元々不十分な情報の中で、答えたモノであると断りを入れることにしています。
 

 

繰り返しますが、このようにはっきりと伝えることによって、私に相談した営業職が「とにかく川端さんの言った通りにすればいい」という思い込みを極力減らし、最後は営業職自身が総合的に判断して欲しいと思っているからです。

 

これが弊所のスタンスです。
 

 

さて、皆さんはどのように感じましたか?

私が伝えたいことが何となくイメージできたでしょうか?
 

 

では、この点を踏まえて次の例題に行きます。
 

 

 

 

 

例題1

 

 

あなたがこんなことをお客様に言われた時にどう感じ、そしてどう反応するでしょうか?

 

 

お客様担当者Sさん「御社のプランではうちの予算額を超えてしまうから導入は難しいですね」

 

『予算額オーバー』
営業職が頻繁に聞く断られる理由の一つです。
 

 

 

恐らくほとんどの営業職はこの時点で「契約獲得は厳しいな」と思うはずです。
 

 

この場合「導入(契約)は本当に難しいのか?」という疑問に対して、Sさんのこの発言から把握できる範囲は最大でも50パーセント( 2分の1)であることが分かりますか?
 

 

この時点では、この発言における登場人物はSさんだけではありません。

 

最低でも2者です。

 

目の前にいるお客様担当者Sさんと【うち】です。

 

この発言の中の【うち】とはSさんの会社を指しますが、実際にビジネスにおける会社とは実態など無く、他に決裁者がいるという意味です。

 

そして、Sさんのこの発言はあくまでのそのうちの1者であるSさんの意見でしかないということです。
 

 

(予算というのは便利な言葉で、それを使う人や所属する企業によって、示す意味や実態は驚くほど異なります。

 

「だいたいこの金額以内で収めたいという目安」程度の意味で使う場合も多いということは憶えておいた方がいいでしょう。

 

また、この場合もSさんがどこまで正確な情報を伝えてくれるのかを握っているのは、あくまでSさんの営業職に対する好感度であり、人間関係の構築の度合いである事は忘れないでください。)
 

 

予算を決めている主体(決裁者)はSさん自身なのかもしれませんし、

 

そうでない決裁者が他にいるのかもしれません。

 

まずはその点を確認すべきです。

 

また、その予算額を誰かが変えることは出来ないのか?

 

或いは、どんなことをクリアすれば、予算の増額が可能なのかをSさんに確認すべきです。
 
 

 

しかし現実にはこうしたことを聞く営業職はほとんどいません。

 

Sさんの話をそのまま真に受け、そこで諦めている場合がほとんどではないでしょうか?
 

 

こうしたこともまずはSさんの話の中には登場人物が何人いて、そのうち意見や立場が分かったのは何人かという視点で話を聞くべきです。

こうしたスタンスを常に取っていれば、自然と確認すべきことは分かるはずです。
 

 

精神論や根性論ではなく、論理的に考えれば、この時点で諦めるのはまだ早すぎることも理解できるはずです。

 

営業職個人の営業活動はこのようにシンプルに考え、シンプルに行動する、そしてそれをいかなる状況でも繰り返しこなすことが最も結果を出す近道であり、よく言われがちなテクニックやマーケティング理論などは必要ありません。

 

 

 

 

 

対策を打つ、それ自体が目的化してはいないか?

 

 

またこれはビジネス全般に言えることですが、よくありがちなミスとして、分からない部分を根拠なく勝手に推測し、自身の頭の中で状況を把握した事になっているという状況もよく見られます。

 

こうしたことも、「売上を増やす」ことが目的であるのに、「対策を打つ」こと自体が目的となってしまい、そのための原因をとにかく特定することをさらに目的化するという本末転倒なことをやっているからです。

 

 

 

 

 

例題2

 

 

もう一つ、例を挙げます。

想像してみてください。

 

 

例えば、あなたが居酒屋の店主だとします。

 

そしてある特定の常連客が突然来なくなったら、何を理由として想像しますか?

 

今でしたら真っ先に浮かぶ理由は「コロナ禍で夜は出歩かなくなったんだろう」ではありませんか?

 

でももしかしたら、その常連客は他の居酒屋に足繫く通っているだけかもしれません。
 

 

本来であれば、「最近来ないけどどうしたの?」とメールでも送ってみるべきでしょう。

 

勿論このように聞いたとしても、お客様が全てを正直に打ち明けてくれるとは限りません。

 

でも根拠なく決めつけるよりははるかにマシではないでしょうか?

 

この場合来なくなった主体は勿論この常連客です。

 

本人に聞きもせずに「コロナ禍が原因」と決めつけるのは、情報量としても来なくなった根拠としてもゼロです。
 

 

にもかかわらず、それを勝手な思い込みで「コロナ禍で」と決めるのは実に不正確かつ一方的な行為であり、またその思い込みの蓄積から対策を打つのはとてつもなく危険な行為ではないでしょうか?

 

 

原因を特定できていない対策は無意味でなく、危険な行為です。

 

最初から効果を見込めない上に、その対策やお店の方向転換によって今のお店に満足しているお客様まで離れるリスクがあるからです。

 

得るモノは何もなく、失うモノしかないことですが、こうしたことを実行している企業やお店はかなり多いと思います。

 

 

 

 

 

とても大切な「分からない」を認める謙虚さ

 

 

もし聞けない場合や聞いても教えてくれない場合は結論を出す必要はありません。

「分からない」でいいのです。
 

 

本当は分からないのに、根拠なく原因を決めつけ、状況を把握した事にする。

 

そして、その根拠のない分析が正しい前提で、対策を決めるのは危険なことです。
 

 

まずは分からないことを認めた上で可能な限り聞く、分かった範囲で比較的マシな対策を考える方がはるかに合理的です。

 

 

 

 

 

営業という仕事の真の姿

 

 

こうして考えると、お店の集客も営業職の営業活動も本質的には同じであると思いませんか?
 

 

誰かの話を聞く時は
 

 

1⃣「この話や発言から正確に分かる事がどの程度あるのか?(どの程度真に受けていいのか?)」をまず判断する。

 

2⃣分かる部分と分からない部分を整理する。

 

 3⃣分からない部分を聞いたり調べたりして、分かる部分の割合を増やす。

こうした地道な積み上げによって、少しずつ状況把握が可能となってきます。
 

 

こうした地道な活動を続けることによって、自身の状況、抱えている課題、お客様の正確な状況を把握できるケースが増えてくるのではないでしょうか?
 

 

そして、こうした地道な積み上げを常に淡々と繰り返し出来るのが「営業という仕事の真の姿」ではないでしょうか?