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体制が整ってから・・・

2020.02.07
体制が整ってから・・・

都内の会社経営者S社長と打ち合わせをしていた時の話だ。S社長が「営業部長が『新商品の取り扱いを始めるのはもっと先にした方がいい』って言うんだ。『現在の商品群だって売れていない営業マンが新商品も売れるとは思えない。かえってやることが増えることで営業マンが混乱する方が心配だ。』と言うんだ。それもそうだなって思うんだ。体制を整えてから始めても遅くはないだろう。」
私はS社長の中で結論が出ているのだろうと思い、反対することはしなかった。

 

 

私は営業の専門家だ。だが、これをやれば売上が絶対上がるとも、これをやらなければ売上が上がらないとも絶対言わない。どれが当たるかを完璧に予測することなど出来ないからだ。だから、私は一緒になって考えると言う。決めるのはあくまでその会社であり、経営者であり、社員だ。その選択肢を増やす、それも出来るだけ効果の高い方法を提案することにこだわっている
これをやれば売上が上がるということが分からない代わりに、これは恐らくいい結果を生まないだろうということは簡単に予測できる。何故なら、これまでの営業マン人生の中で多くの失敗例を見てきたからだ。優秀な営業マンほど成功の数も失敗の数もずば抜けて多い。成功例を作るために失敗を重ねているとも言えるし、失敗したからこそ同じ失敗をせずに済み成功例を量産できるとも言えるし、成功を作るために一定数の失敗が必要だとも言える

 

 

その典型的な失敗例のパターンがこれだ。
何かを先送りした理由が「体制が整っていない」という時だ。
はっきり言おう、営業の世界で体制を万全にしてから始めようなどというのは無駄な考えだ。
何故なら、営業とはスタートしてすぐに結果が出ることなど珍しいからだ。何年でもやりながら走りながら考えていく以外にない。
『マーケットリサーチをもう少し慎重にやってからやろう!』などという者もいるが、マーケットなどは常に変わり続ける。新しい商品を手掛ける時には需要があっても、いざ販売スタートという時には他社の新商品の登場で「世に出るのが遅かった商品」になることだってあるだろうし、出す前にその情報が分かれば、市場への投入自体を見送る決断とて必要だろう。
しかし、そうでないなら投入を検討した段階から、実際に市場に投入する間は短ければ短い方ほどいい。
最初から成功が確信できるモノもあり得ないのと同じくらい、どういうやり方がヒット商品につながるのかも結局誰にも分からないのだ。
それ故、体制は事前に整えるのではなく、営業活動を展開しながら最適な体制を追求していく方がはるかに合理的である。
何故なら市場も顧客もライバル会社の攻勢も誰も予測もコントロールも出来ず、常に変化し続けていくからだ。
今日目指した体制が整った半年後には状況は勿論変化している。それに気づくのは今日から半年後である。営業の世界のあるあるだが、『こんなんだったらあの時始めれば良かった』ということの方がはるかに多いのはそういう理由である。

Jリーグ初代チェアマン川淵氏は、当時Jリーグ発足に反対だった関係者にこう言い放った。「時期尚早と言う人間は100年たっても時期尚早と言う。前例がないと言う人間は200年たっても前例がないと言う」。
この言葉はそれらの本質を貫いた名言だと思う。歴史は川淵チェアマンの見通しが的確だったことを証明した。

こうしたことは営業の世界に限らない。最近では、「川端さんの話は営業について語っているようで、あらゆる組織、勝負の世界に通底する本質を突いている」との言葉を頂くことも多い。
サトミ営業相談所は、勝負の世界の本質を理解している「営業の専門家」なのである。