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ビジネスの本質

2020.07.03
ビジネスの本質

少し前の話になる。地方の顧客と電話で話していたら突然担当者のMさんが「前から言おう言おうと思っていたんですが、川端さんと出会えて良かったです。今思えば、出会う前はビジネスを難しく考え過ぎていた気がするんです。川端さんは出来ることから少しずつやっていった方が結果は出るって言ってくれて、具体的なプランを提案してくれた。でも、ほとんどの会社はそんな風に考えていないし、考えられないと思うんですよね。自分たちもそうだったし。」

 

私は「ビジネスは確かに難しいですね。難しいからこそ複雑に考え込んでしまう方が多い。また、そうしなきゃいけないと思っている部分もあると思います。でも、ビジネスは至ってシンプルです。シンプルに考えて行動し続ける方が結果は出やすい。ビジネスは所詮マッチングですから。どこまで行ってもそれは変わりません。迷ったら『ビジネスは所詮マッチングに過ぎない』という言葉を思い出してください」と伝えた。

当然のことであるが、多くの企業やお店は出来るだけ効率的で合理的な集客方法を模索している。でも、「今現在の顧客が何故御社(お店)から商品を買ってくれているか把握していますか?」と聞くと答えられる企業や店は少ない。例えば、あなたがケーキ店の店主なら今自分たちのケーキを買ってくれている人が何故買ってくれているのか(例えば、美味しいから、安いから、近所だから、店主が好きだから、大きさがちょうどいいからなど)の把握なくして、売る方法やツールをもっと合理的に効率的にしたいと思っても効果が出にくいということだ。もし価格が高いのが不振の原因だと思い値下げしたとしても、お客さんからしてみればただ立地が悪く足を運びにくいだけだとしたら、プライスダウンではなく、無難に考えれば移転が妥当な判断という事になる。少なくともプライスダウンはデメリットの方が大きいという結論になる。こうした事はこのように書くと当たり前じゃないかと思うかもしれないが、実際にはほとんどの企業やお店では私のアドバイスはここから始まる。つまり、そこをクリアしていない企業やお店が実は多いということだ。こうした事はどのような対策を取るにしても必要なことだと私は思う。(私の顧客のほとんどは過去に一度は他のコンサルタントのお世話になっているがこうした事を指摘またはアドバイスされていないのは何故なんだろう。不思議だとしか言いようがない。)また、こうしたことは慌てて始めるものではなく、一定期間日常的に考えているからこそそれなりの精度が出るモノでもある。ビジネスは所詮マッチングに過ぎないという大原則の前にこの「ウチのお客さんは何でウチから買ってくれているのか」という素朴な疑問と問いかけは避けては通れない。

 

 

また、こうした当たり前の議論、素朴な疑問の阻害要因として『組織の論理』という厄介な問題もある。会社の組織や経営者の思い込みや決めつけによってこうした普通の議論が出来ないという異常事態である。もし自由な意見が飛び交う職場であれば、どんなに経験が少ないメンバーだけで運営されている組織でもこうした意見は誰かから必ず出てくる。だが、こうした組織はむしろ珍しい。そもそも店主一人でやっているお店などは物理的に議論する相手もいない。以前私が主張したように、全くそのお店や業界に関係ない人も立派なアドバイザーに成り得る。因みに、私はどんなサービスをしたらいいかを顧客に日常的に聞いている。「私の何がいいと思って契約してくれましたか」「私が何をやったら他の人が惹かれると思いますか」と普通に聞く。それは自分の顧客は自分自身よりも自分の長所・ストロングポイントを理解していると確信しているからだ。何故なら、顧客は私にお金を払ってでも私の話を聞こうと決断した人々だからだ。弊所サトミ営業相談所の最大のシンクタンクは利害を全く共有していない友達であり、または顧客自身であるというのはそういうことだ。これが本当の顧客の立場に立った営業スタイルとも言えるだろう。

 

 

そして、「ビジネスとはマッチングである」ということは未だ顧客になっていない市場が一体何を求めているかを考えることだけではない。そんなことはいくらマーケットリサーチに投資しても完璧なものなど無理だ。広告やマーケットリサーチに多額の費用を掛ける大手企業でもしばしば失敗するのは市場が生き物であり、またライバル会社の今後の同行を把握するのも至難の業だからだ。マーケットリサーチとは多すぎる変数と時間差が存在する限り、その程度のものだと割り切ってしまった方がいい。だからこそ、市場全体を予測するより現在の顧客がそのお店や企業の何を評価しているのかを考える方が簡単で勝率が高いと言っている訳だ。その結果を持って、同じような層をいかに増やすか、もしくは層の外側の需要をいかに取り込むかを考えた方が遥かに合理的であると私は考える。(難しい概念や横文字を並べ立てて結局何が言いたいのか、何を教えてくれたのか全く経営者が憶えていないようなアドバイスは本当に意味がない。)

 

 

こうした事を言うと、ネットやSNSを使って自社商品をいかにPRするかという事がまず話題にのぼる。しかし、考えてみて欲しい。SNSをほとんど使わずに結果を出している会社やお店はいくらでもある。つまり、SNSの活用はビジネスにおいて必須ではないということだ。SNSはマッチングを飛躍的に効率的にまたほとんどゼロコストで可能にした。しかし、一つのやり方に過ぎないことはSNSを活用せずに結果を出し続ける企業の存在と、活用しても販促にプラスになっていない企業の存在が証明していると思うのは私だけだろうか
この結果を出すかどうかの違いはマッチングの仕組みを理解している否かの違いであり、SNSの活用が全ての企業やお店にとって勝負の分かれ目になる訳ではないということだ。

 

例えば、あなたが工業製品のメーカーだとして自社で開発した製品をもっと売りたいとしたら、それらの商品情報が集まる専門サイトに自社製品を登録するよりいい方法がある。これまで自社製品を使ってくれた工場の担当者に同じ工場の知り合いや他の工場の購買担当者への紹介を依頼することだ。使っている人はその製品を評価して買っている。何よりその製品を知って、買って実際に使っているだけにどういう工場のどういうライン・製造現場において便利で喜ばれるかを知っている。実は製品を勧めた時の説得力が高いのはメーカーではなく、ユーザーであるいう事実と向き合えばそれほど難しい話ではない。サイトはあなたの製品だけをPRしているわけではなく、多くの製品を同時に紹介しているわけだから目立つ可能性は高くない。こうした事もこのように説明すれば誰にでも理解できる話であるが、実行済だと答える企業は割と名の知れたメーカーですら珍しい。また、ただ紹介してくださいというだけより、隠し味をつけるように様々な工夫や言い方をすることで少しずつ効果を上げることは可能だ。現実にはコストとのバランスを考えて、同時に複数の方法やツールを活用するのだが、そもそもいかにマッチングを多く成立させるのかという着眼点がないから、うまくいかないというだけの話であると私は思う。

 

 

SNSはビジネスを大きく変えた。これは事実だ。私自身もSNSにどれだけ助けられたか分からない。それくらい圧倒的な影響力を持っていることは間違いない。何よりコストをかけずに相当なことが出来る。しかし、それ故にまずはSNSでの集客を考えてしまいがちなのが今のビジネスの現場だ。これはどの業界でも同じである。実際にはその企業やお店がどんな商品を持ち、どのような人員をどれくらい持っているか、どのような層に現在評価されているのか、そしてそれをどうしたいのかで全部違う。全ての企業やお店がSNSさえやればいい訳ではない。私は現在の顧客層がどう分布しているかを分析するだけでなく、それを踏まえて今後どう広げていきたいのかまでを聞いた上でベストの提案をする。

そして、私が考えるベストの提案が顧客にとって実行したくなる、所謂そそられるプランなのかを何度も確認する。先週の繰り返しになるのだが、顧客が低いモチベーションでやらなければならない方法など上手くいくはずがないからである。ビジネスとはマッチングである。それ以上でもそれ以下でもない。その方法は無数にある。そのマッチングを地道に増やす方法を一緒になって考えるのが弊所サトミ営業相談所の基本姿勢であり、それが私が考えるビジネスの本質である。