8月30日に第一回お仕事意見交換会を開催した。SNSで紹介したので、開催されたこと自体は知っている方はいるかもしれない。今回はその時感じたことや分かったことを紹介したいと思う。
まず私が何故この企画を思い立ったかを説明したい。
私の専門は企業の営業戦略立案である。その企業が売上を増やしたい、それには何をどうすればいいかをあくまでオーダーメイドでアドバイスする。これはその企業が掲げる目標だけでなく、企業の持つ人員などの能力、そして何よりどういう風にその目標を達成したいか(例えば新規開拓はせずに既存客の売上を取り戻したいだけなのか、新しい販路を開拓したいのか)によって全て提案の内容は異なってくる。これも何度も繰り返し述べたことだが、これを地道に重ねた結果、企業側からあらゆるテーマについて相談されるようになった。まずは営業職の成長へのサポート、お手伝いである。ここまではある程度予想をしていた。しかし、それにとどまらず目標の立て方、予算やバジェットの数値設定、担当変更の相談、電話対応の改善、SNSの運用方法、様々な悩みを相談して頂いた。私が実際にアドバイスをした相談内容の一つ一つを見ればこうしたことを専門にしている方はおそらく日本中にたくさんいるだろうし、ネットで検索すればいくらでも探せる。それでも私に相談するのは、既に営業戦略について相談をしていて私がどんな人間か分かっているという安心感があるからであって、私がその課題を解決する能力がそれぞれの分野に特化した専門家よりも高いと評価された結果ではない。しかし、それくらい自分の悩みや疑問を人間性が分からない方に相談するのは抵抗があるという事なのではないだろうか。
(実際には、アドバイザーの人間性や相談者に与える安心感や信頼感と、アドバイザー自身のノウハウは何の関係もないが、ビジネスの世界ではこれが最も重要であり、私の専門である営業という仕事も全く同じことが言える。そして、この安心感・信頼感を顧客に感じてもらうというのはビジネスの世界では非常に難しく成立させるのに時間がかかる。一番いいのは私のように実際に一緒に仕事をすることだが、仕事を試しに依頼するということもハードルが高い。試しに仕事を依頼してみるのが一番自社の商品やサービスを理解してもらえる方法だが、実はそれが一番ハードルが高いというジレンマが集客の最大のテーマなのである。)
このようにビジネスの現場において、今自分が抱えている問題の専門家がいるのにも関わらずそれを実際に彼ら・彼女らに相談する方は少なく、一方でもし何かのきっかけで相談できるモノなら相談に乗って欲しいと思っている方は多いのではないだろうか。言い換えれば、多くの方はは仕事において(勿論プライベートでも悩みを抱えているだろうが、)多くの悩みや疑問を抱えているが、その受け皿がないのではないか。
更に言うなら、すぐに解決したいと思うほど重大ではないにせよ、誰かに聞いて欲しい悩み、答えて欲しい素朴な疑問は誰しもあるのに、そのまま放置されているということではないだろうか。
また、私に相談する方も私にだけ相談しているとは限らない。家族や友達、同僚数人に同じ悩みを何度も相談しているかもしれない。このように既に誰かに相談していても解決に至っていない悩みもあれば、相談する相手がそもそもいないということもあるのではないだろうか。
例えば、あなたがお店のオーナーだとして、新しいサービスや商品を始めたいと思ったとしよう。でも、お店のスタッフにそのことを話す前にお客さんがそれについてどう思うのかを知りたいということはあるのではないだろうか?しかし、お店のスタッフに相談する前に常連客にそれを相談するのもちょっと・・・という方がいたっておかしくはない。
更に例えれば、私の専門である営業職の方も、営業を初めて間もない方なら上司や先輩社員に聞けばだいたいの事は教えてくれる。でも何年も経って今更こんなことを聞けないなんて悩みや疑問は誰にでもあるのではないだろうか。
つまり、これはあらゆる業界、職種の方にあてはまる話なのではないか。
これらのことを総合し考えたのがお仕事意見交換会の開催だ。
自分の会社やお店の部下や先輩の多くはその会社やその業界歴があり、その業界ならではの常識や慣習に少なからず染まっている。いや凝り固まった常識に支配されていると言ってもいい。でも、他の業界では当然のように皆が共有している視点や考え方、或いは他の業界では当たり前のように出来ていることが自分たちの業界では誰も考えても気付いてもいなかったということは多いに違いないと思ったのだ。
(因みにこの会の進行については全くルールを設けなかった。自由に悩みを言ってくれていい。また、こんな事を言ってはダメだ、こういう悩みや発言は辞めてくれというのも一切なしだ。一人頭の時間制限もないし、途中退出も遅刻も問題ない。それはルールなどなくても問題ないというだけでなく、みんなで作り上げていく方が我々らしいと思ったからである。)
参加者は質問者であると同時に、自分以外の参加者が悩みや疑問を投げかけている時は、回答者である。他の業界のビジネスパーソンとして、そして一人の消費者としてその悩みや疑問に答えてくれるはずだ。そして事実、そうなった。
たった六人だけなので、一人一人がしっかりと自分の意見を主張し、また悩みや疑問をぶつけていった。そして何より印象的だったのは、自分の悩みや疑問に対する他の参加者の回答を一生懸命メモを取っている方がいたことである。
私はこの会の面白さと価値を確信した。そして、今まであらゆる座談会やセミナーや異業種交流会はあっても、こういうコンセプトを持ったモノは実はあまりなかったのではないかと思った。
サトミ営業相談所は面白くて、前代未聞で、何より誰かの役に立てることに常に挑戦していく、果てしない冒険心を持っているからこそ、「日本唯一の営業の専門家」と呼ばれるのである。