先週木曜日にスタンドFMというラジオアプリでラジオを始めた。それまでにもペリスコープというアプリでラジオ配信をしていたのだが、そこで知り合った方に「川端さんはスタンドFMの方が合っていると思うよ」というアドバイスを頂き、二日後にスタンドFMを始めてみたのだ。
ラジオの面白さというのは視覚からの情報がほぼシャットアウトされているため、音声と内容だけの勝負になるという点だ。YouTubeなどの動画は視覚での情報の割合が相対的に大きいため、同じ内容を話していても画面のつくりやテロップの入れ方でかなり印象が違う。つまり、画面を作るノウハウによる影響を受けやすいということだ。
それに比べると、ラジオは内容と話し方のみでそれ以外の影響は比較的少ない。同じように配信するならラジオの方が私は適していると思ったのである。
前振りが長くなってしまったが、先週始めたスタンドFMの配信後、私のチャンネル宛に質問レターが届いた。まずは私に質問してくれたことに素直に嬉しいと伝えたい。
内容はこうだ。
「来年から社会人なのですが、社会人として持っておくべき考え方を教えてください」
まずこの質問を送ってくれた方には素晴らしい社会人生活を送って欲しいと思った。
予め言っておくが、今から言うことは社会人として最低限身に付けておく素養ではない。
例えば、「人間関係を円滑にするには・・」とか、「人から評価されるにはどうすればいいのか」という事で本当は良かったのかもしれない。でも、それは多分私でなくとも、友達や先輩、家族に聞いた方がいい回答が返ってくると思う。
素直に人の意見を聞きなさい、挨拶をきちんとしなさい、メモを取りなさい、失敗を恐れずやりなさい、周りの人に感謝しなさい、恐らくこうした回答が返ってくるはずだ。
これらの助言は間違っていない。いやむしろ全て正しいことだ。
しかし、私はあなた、いやこれを読んでくれた人全てに人生をより謳歌して欲しい、楽しく、面白い人生を送って欲しい、だからより仕事の面白さを満喫するための考え方を伝えたいと思う。
もしかして私にレターを送ってくれた方はそこまでは求めてなかったのかもしれない。
だが、この質問が私に送られた以上、それがこの質問が私に投げかけられた意味だと思い、あくまで私の考え方を伝えたいと思う。
私が社会人として持っておくべきだと思う考え方は次の三つだ。
繰り返しになるが私が今から言うことは私が個人的に思っていることであり、それほど切実に聞く必要はない。一つの考え方であり、納得できる部分だけを実践しても、全く参考にならないと聞き流して頂いても全く構わない。
もっと言うなら、ほとんどの社会人ができていない事であり、出来なくても普通に仕事は出来ると思うので、気楽に読んで欲しい。
一つ目は「言葉の定義付けを明確に行う」
これは自分の目標の設定に関わる重大なことだ。例えば、「もっと頑張れ」とか「必死にやれ」などとアドバイスする人は多いが、「頑張る」とはなんだろう。「もっと」とはどのくらいなのだろう。こうしたモノはアドバイスでも何でもない。言う側と聞く側でニュアンスが違うからだ。このように、定義があいまいなものは受け取り手が具体的にどうしていいか分からない。当然だが、失敗か成功かという位置づけもその原因分析もできないということだ。
残念ながら先輩や上司などの他人のアドバイスを変えることは出来ないだろうが、自分自身の目標については定義付けを明確に行うことはできる。私が先程使った表現である「素晴らしい社会人」とは何かと言っても、仕事で結果を出す社会人なのか、給料を多く稼ぐ社会人なのか、社会に貢献している社会人なのか、それによって必要なことは全く違うし、人によって連想する形も全て違うのではないだろうか。
他人がどう仕事に取り組もうが自由だが、自分がより良い社会人になりたいと考えるならこうしたあいまいな部分を少しでも無くした方が単純に結果は出しやすいし、満足も得られやすい。あいまいな部分を無くすと言っても、ストイックに取り組むということではない。目標地点に対して、直線距離で行くという程度のイメージで十分だ。
一例を挙げると「充実した社会人生活」というよりは、「仕事は出来るだけ定時で終らせて、夜は自分の趣味に没頭する」の方が具体的で何をすべきかが明確で良いということだ。
何をすべきか明確だということは、何が出来ていないかも明確になるということだ。
社会人になればやることは増える。ストレスも自然と増える。余裕もなくなるだろう。
他人や会社や組織という変数に振り回されずに自分の人生を楽しむには、目標の定義を出来るだけ明確に具体的にし、優先順位を付けながら高い方から実行していく。優先順位が高い方からやるのが厳しくなったら簡単なことから手を付けていく。これを繰り返しているうちに、慣れやスキルの向上が生まれ、簡単に出来ることが増え、効率も上がっていく。
この循環を作ることをまずは目指すというのが最も賢いやり方だと思う。
これは質問者自身が誰かに何かを依頼する時や何かを共有する時も役に立つことでもあるので、やってみてはいかがだろうか。
二つ目は「他人の意見よりも、自分がいいと思ったことを優先させる」ということだ。
そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれないが、これを実践できる社会人はおそらく1%もいない。もっと少ないかもしれない。他人とは上司や先輩、友達全員である。社会には筋の通った大人などほとんどいない。全く納得のできないこと、意味が分からないことを言う人間がほとんどである。残念ながらこれは事実だ。
もう少し具体的に言うなら、会社は売上をあげ、利益を出すことが目的であるはずなのに、時に売り上げや利益に関係ないどころか、逆行するような指示を出す。上司や先輩の中にはそうと分かっていながら矛盾した指示や到底理解できないようなことを言ってくる人がほとんどである。
これはどんな会社で働こうが、どんな職種を選ぼうが、自分で起業しようが多かれ少なかれ必ずある。
それを吹き飛ばすには仕事において結果を出すことである。不思議なもので結果を出すためのプロセスであるはずなのに、結果を出す人にはプロセスの自由がある程度認められる。不思議な部分ではあるが、これもまた事実である。
しかし、社会人なりたてのあなたは結果が出るまでに少し時間がかかるかもしれない。そんな時は自分が必要だと信じたこと、納得できることを優先することをお勧めする。
他人の意見を意味がないと思ったら出来るだけ無視する勇気を持って欲しいと思う。勿論、他人からの意見で腑に落ちることもたくさんあるはずだ。それは実行すればいい。とにかく、自分がいいと思えることだけをやった方が結果は出る。何故なら、その方が高いモチベーションで実行に移せるからである。そして、成功した時の喜びも大きいし、失敗した時の悔しさもより大きい。そして、自分で納得してやったことの結果なら自然とポジティブに受け入れることができるはずである。何より上手くいった時の面白さや気持ち良さをまた味わいたいと思えるはずである。
反対に意味も分からず、納得していない状態でやっても結果は出ない可能性が高い。仮に結果が出たとしても、何故上手くいったかが分からないから再現ができない。これでは時間の無駄である。
これは私の個人的な考え方だが、失敗した時に他人のせいにしてしまうのはその人が打たれ弱いとか、人間として未熟だからではない。他人から強制されてやった結果、失敗したと感じた時に他人のせいにしたくなるだけなのではないだろうか。「社会人はとにかく他責はダメだ」と言う人は多いが、よく考えたら無茶苦茶な話であると思う。本当に他責かもしれないのに、「他責はとにかくNG!」の風潮はまっとうな反論や公正な評価の機会を奪う。
自分の意志でやりたいことを実行した結果、他人のせいにする人間などごく少数である。上司の意見はあくまで選択肢を一つ提供するだけという程度に聞くのが一般的な社会になれば、他人のせいにする人間は恐らく減るのではないだろうか。
どんなに社会人歴が短くとも、その業界歴が短くても
「きみにはまだ分からないだろうが、そういうものなんだ」「とにかくやってみてくれ」などという言葉に騙されてはいけない。結果を出すためにこそ、自分がいいと思ったこと、納得できることだけをやるという事をオススメしたい。
勿論、現実的に考えて、上司や先輩の意見を無視し続ける、もしくは納得できることしかやらないことなど相当に難しいだろう。でも、それが現実だからこそ、自分自身の中でこっちの方がいい!と思えることがあった時はそれを優先させよう、その方が結果が出る可能性は高いのだからということを言いたいのである。
出来る限りでいい。
三つめは「目的を見失わない。」
これは仕事に限らず、どんなことにも当てはまる話かもしれない。
仕事を進める上で、目的を果たすためにやろうとしたことがいつしか当初の目的を見失い、それ自体が目的化してしまうことはよくある。
例えば、私が営業マン時代に経験したことを言おう。ある時、上司が私達営業マンの訪問件数を増やすために一日三度の定時報告(その時点で何件訪問したかを報告すること)を全員に課したことがあった。しかし、この三度の定時報告をする時間があるなら1件でも多く訪問したり、客に電話する方がよほどいいのではないかと思ったのは私だけではないだろう。こうしたことは職場ではよく起きる。しかし、会社というあらゆる立場、あらゆる思惑が交錯する場所ではこれらはゼロにはならない。そう思った方がいい。これらを出来るだけ減らし部下に本来の業務に集中してもらうためにこそ、管理職がいるはずなのだが管理職はむしろその傾向に加担する側に回ることの方が多い。
どう立ち回るかはあなた次第だが、結果を出すためにこそ自分自身がその行動の目的は本来何なのかということを見失わないことだ。それが出来れば、無駄な行動を減らすことができ、自身のやりたい仕事に専念でき、結果を出す可能性を高めることが出来るはずである。
自分の行動の目的はいったい何なのかということを理解しチェックする癖をつけておけば、どこは手を抜いて、どこは全力でやるべきかというサボり方も分かってくるだろう。
何より目的を見失わなければ、自分の行動に一貫性が生まれ、最短距離で目標に近付く可能性が高まる。
最後に番外編として、これだけは追加で言いたい。
それは常識に支配されないで欲しいということだ。
これはそのままである。世間で言われている常識の半分くらいは嘘、もしくは意味のないものである。私はそう思っている。だからこそ、私も含めて現役で働いている方はビジネスの常識に挑戦して欲しいと思う。それが次の時代の人間により良い社会を提供することにつながるだけでなく、自分自身の10年後にプラスになっていくのだから。
例えば、「大事な話はメールでするな」というのは私が社会人なりたての頃の常識だった。見積りをメールで送る事すらご法度だった。しかし、今はどうだろう。むしろ、見積もりはメールが一般的になったという会社の方が多いのではないだろうか。しかし、このように一見もっともらしいが双方のメリットを意味なく阻んでいる常識はまだまだ存在する。それをあなた自身の手で無意味であることを証明し、壊してほしいのである。恐らく、これはとても立派な社会貢献であると思う。
以上だ。
繰り返しになるが、私が言ったことの中で納得できることだけを実践してみて欲しい。一つもなければ全て聞き流してくれて構わない。
最後に、質問者の方を私は無責任に応援しています。