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目から鱗のハウツー営業【数字という結果の受け止め方[後編]】

2022.08.19
目から鱗のハウツー営業【数字という結果の受け止め方[後編]】

突然ですが、私は営業職の皆様に[営業という仕事の真の面白さ]を伝えたいと思っています。
サトミ営業相談所の川端です。

前回②では営業不振に悩む営業職はその責任の全てが自分自身にあると思ってはならないということ、そしてその理由を解説しました。

ではどのように考え、具体的にどうすればいいのでしょうか?
今回はその事について解説します。

 

 

 

 

 

企業の数字への考え方、管理職のあるべき姿

まず企業が組織としてどのように考え、また管理職はどのようにすべきかを解説します。

 

※本来このシリーズはあくまで現場で奮闘する営業職の方に向けた発信です。

 

しかし、数字の受け止め方の問題は営業職側だけの問題ではなく、むしろ企業側、管理する側の課題です。

 

ですので、営業職の職場環境改善の為にこそ、まず会社や組織、管理職の皆様用の解説もしたいと思います。

 

 

 

本題に入ります。

 

繰り返しますが、営業職に結果が出ないのは多くの場合その営業職自身が営業という仕事を誤解しているからであり、その誤解を招く原因の何割かは誤った情報を流した発信者や、間違った指導をする管理職にあります。

 

 

 

 

企業の本当の最優先課題とは?

ですから、営業職の間違った認識を訂正する以上に、社内においては誤った指導をする管理職側に問題があると捉え、是正を促すというのは真っ先にすべきことだと思います。

 

 

何故なら、そのような間違った指導をする管理職は、間違った指導によって次々と間違った認識を持つ営業職を作り出すことになるからであり、またそれを受けた営業職はそこから自力で修正することはゼロから始めるよりはるかに困難だからです。

 

 

とは言っても、何を持って間違った指導、正しい指導とするのかは各企業で決めるしかないのが現実です。

 

私自身はこのような指導は間違っているという確固とした基準を持っていますが、その基準や定義づけはそれぞれの企業で決めるしかありません。

 

簡単に言えば、営業職の成長や数字にプラスの影響を与えていないモノが間違った指導ということです。

 

そう考えれば、上層部だけでこうしたモノを定義づけるのではなく、営業職側から「このような指示は納得できない」「このルールはおかしい」「この提出物は月に1回にして欲しい」などの要望の集約が必要であり、またそれを率直に言い合える雰囲気が最低限必要ということになります。

 

出来れば、こういう雰囲気作りだけでもやっていただくと営業職側は自身の営業活動により集中しやすいと思います。

 

 

 

 

数多くの管理職の方から寄せられた質問

実は前回の記事はかなり反響が大きく、特に現役の管理職の方からコメントや質問が様々な形で私の元に寄せられました。

 

 

この場を借りて、御礼申し上げます。

 

ありがとうございました。

今回のテーマともピッタリと合致するので、特に多かった質問にここでお答えしたいと思います。

 

 

 

 

管理職の指導の必要性、営業職の自由の位置づけ

「営業職のプロセスを管理し、教育・指導するのは必要のない事なのでしょうか?
むしろあまり介入せず、部下に自由に伸び伸びとやってもらった方がいいのでしょうか?」

 

 

はい、私自身はそう考えています。

 

勿論ゼロか、100かという問題ではないと思います。
ですが、これは究極的には、

 

❶管理職の指導によって生まれた営業職の成長
❷営業職自身が会社や上司から何の介入も指導もされずに見せる成長

 

 

この2つのどちらが大きいのか、どちらを信じるのか、どちらに期待できるのかという問題になります。

 

 

正確に言うと、それぞれの管理職の指導力とそれぞれの営業職の自主性によって決まるので、ここで必ずどちらが大きくなるということは誰にも分かりません。

 

 

 

例えば、管理職が教えるのが上手であれば、❶が相対的に大きくなり、営業職自身のモチベーションが高く自主性も高い場合は❷が相対的に大きくなります。

 

また同じ管理職が指導する部下が複数いる場合、Aさんには指導・介入すべきで、Bさんには自由にやらせた方がいいということも有り得ますし、逆に同じ営業職でも、ある管理職の元では自由にやらせた方がいいのに、ある管理職の元では一から全て管理した方がいいという場合もあるでしょう。

 

 

人間同士ですから、管理職の指導力・営業職の自主性以外に両者の相性にも左右されます。
ですから、厳密に言えば、この管理職には積極的に部下に指導してもらうべきだとも言い切れませんし、この営業職には自由を与えた方がいいとも言い切れません。
公平に論理的に考えれば、所詮は両者の組み合わせによるとしか言いようがないということです。

その上で、私が主張したいポイントは以下3点です。

 

・教育・指導によって営業職の成長を促進している管理職は現実として少数である。

・部下(営業職)の自主性やモチベーションが低いのは、本人の元々の問題ではなく、会社や管理職が原因の場合も多い。

・会社は管理職の指導力に関わらず、管理職に部下である営業職の指導・管理・教育を無条件で課している。

 

 

 

大いに反論したい管理職も多いと思います。
『基本が出来ていない営業職を放っておくことはできない。』
『指導せずに自由にやらせたところで、どんどん結果が悪くなる一方だ。』
『数字の悪い営業職に何の指導もしなければ、自分の評価が下がる』
こうしたご意見ももっともです。

 

 

 

しかし、あなたの指導によって初めて状況が改善した営業職がどれほどいますか?

 

恐らくほとんどいないと思います。

 

逆にそういう営業職が数多くいるという方は指導力のある管理職です。

(ただし、全体としてはそういう方は少数だと思います。)

そして、あなたが教えていることの中であなたにしか教えることが出来ないことがどれほどありますか?

 

 

 

 

 

結果の出ない営業職に不足しているモノ

営業の基本はググっても、本を読んでもどこにでも見つけられます。

 

基本が出来ていない営業職に足りないのは、基本という知識ではありません。

 

調べようとすればすぐに得ることが出来る基本を知ろうともしない、調べて実践して身に付けようとしないモチベーションの低さです。

 

そして、そのモチベーションは入社してから元々低かったのでしょうか?

 

私はそのような人は実は少数だと思います。

 

会社や管理職のやり方やルールでモチベーションを奪われた結果であるという側面はないでしょうか?

勿論、会社や組織、管理職が無意味にしか見えないルールや施策をゼロにするのは不可能です。

 

組織である以上、それが難しいということは私も承知しています。

 

 

だからこそ、こうしたことを極力減らし、営業職が自身のモチベーションを維持できる環境を整えてあげて欲しいと思っています。

 

 

 

 

管理職に求められる事、管理職にしかできない事

管理職に本来必要なことは本やネットからも見つけられるような営業の基本や常識を教えることではなく、部下のモチベーションを管理することです。

 

 

具体的には、管理職から教えるという行為より、個々の営業職の抱える悩みや疑問に、彼ら彼女らのタイミングで相談に乗ることです。

 

そして、不安や悩みを解消するきっかけを提供し、モチベーションが高い状態を維持し、営業活動に没頭してもらうことです。

 

 

 

営業の現場で発生した悩みや素朴な疑問はたくさんあります。

 

営業職の多くはそれらを上司や管理職には相談しません。

 

それは相談した事そのもので自身の評価を下げてしまうのではないか、叱責されるかもしれない、相談しても解決に繋がらないだろうという疑念があるからです。

 

でも本来そうした悩みや疑問を一番解消できるのは普段からその営業職を比較的知り得る立場にいる上司や管理職のはずです。

 

ではあなたと部下である営業職はそのようなことが出来る関係になっていますか?
おそらくほとんどそうなっていないでしょう。

 

 

 

 

結論

こうした現状を考えると、私の結論はどうしてもこうなります。

 

その指導によって営業職の成長を促進させている管理職はおそらく少数であり、むしろ営業職のモチベーションを奪う側に回っているはずであり、結果として負の影響を与えている場合の方が多い。

 

であれば、確率的には、管理職側の介入を極力減らし、営業職に自由にやらせた方がモチベーションは安定し、結果も良くなる可能性が高い。

 

これが管理職の皆様に対する私の提案です。

 

 

 

企業は営業職の教育を無条件で管理職に課す前に、管理職のスタンスをこのように変えることの方がはるかに合理的ではないでしょうか?

 

出来もしないことを出来る前提で無理に課してしまえば、両者(管理職と営業職)のモチベーションが失われるだけで仕事上何のプラスにも働かないのではないでしょうか?

 

 

これらが管理職は営業職に指導や管理などは極力しない方がいい、むしろ営業職側が出すSOSに反応し、悩みや疑問を解消する役に徹しながら、営業職のモチベーションを維持し、その結果としてチーム全体の数字を管理する方が良いと私が考える理由です。

 

 

 

もし管理職の方がこの記事を読まれたら、せめて【管理職は営業職にとって天使にも悪魔にもなり得る】ということを再認識して欲しいと思います。

 

それは営業職、ひいてはあなた自身、最終的には会社の利益に繋がるはずです。

 

 

 

 

 

営業職はどうすべきか?

次に、営業職はどうすればいいかを解説します。

 

 

はっきり言います。

 

まず上司が理不尽な指示、或いは無意味な指導を自分に課していると感じたら、その上司の言うことは極力聞き流してください。

 

 

(勿論、ご自身が納得したこと・腑に落ちた事はどんなにそれまで誤った指導をしていた上司の指示でも受け入れるべきです。

 

誰が、どんな人が言ったかではなく、自分自身が「意味のある事だ」と納得できる内容なのか、という一点だけで判断してください。

 

コツとしては、発信者不明の情報だと思ってみた時に、どれほどその情報や指示の内容に納得できるかという1点でその助言や発信を評価することです。

 

SNSなどにおいても、どんなに影響力のある方の発信だろうが、有名な方だろうが、他人が高評価をしていようが関係ありません。

 

内容と妥当性と根拠をいかに感じるかで受け入れるかどうかを決めてください。)

 

 

 

勿論現実には全て聞き流すことなどなかなかできることではありません。
ですから、極力と言いました。

 

 

本来は誤った認識を持った上司を是正すべきですが、それは営業職側の課題ではありませんし、営業職側でコントロールできることではありません

営業という仕事は良く悪くも結果が全てですし、プロセスがあまり他人に見えない仕事でもあります。

 

 

 

果を出すためにこそ、まず現状の全てを自身の責任と決めつけず、どのようなことが原因で今の結果になっているのかを冷静に分析してください

 

そして、それが誤った指導をおこなった上司が原因ならば、きちんと自身の中で上司の責任だと認識してください。

 

改善や現状打開には正確な原因分析が必須です。

 

その上で、自分の行動の中の改善点を真摯に受け止めればいいと思います。

繰り返しますが、これは責任転嫁でもなんでもありません。

 

 

 

 

 

直感、違和感を大切にしてください

そして、自身の判断で自身の違和感にしたがって、自分の納得した事、やりたいことを実行する時間を少しでも増やしてください。

 

 

ご自分の直感、
言葉では説明できないけど、こうした方がいい気がする、

 

これは何かおかしい、
こうした感覚を何よりも大事にしてください。

これが大切だけどあまり語られないポイントにして、見落とされがちなポイントです。

 

 

 

 

まとめ

企業:誤った認識を持った管理職の是正が先決。
管理職:営業職側にあまり介入せず、自由にやってもらい、営業職の悩みや疑問の相談役に徹する方が良い。
営業職:結果が出ない時は、まず全て自分自身に原因と責任があるとは思ってはならない。
正確に原因を分析し、他者に対しても自分自身に対しても公平に何が悪かったのかを分析しよう。

 

 

そして、その上で改善点を洗い出し、自分が必要だと思うことを自分の必要だと思う量だけやることを目指しましょう。