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目から鱗のハウツー営業【お客様からの要求の断り方】

2023.04.13
目から鱗のハウツー営業【お客様からの要求の断り方】

 

「お客様からの無茶な要求を断り切れない」
「お客様の要求を断る時にどう説明していいか分からない」
「お客様の要求を断ること自体が苦手だ」
そんな悩みをお持ちではありませんか?

恐らく多くの営業職はこうした悩みを大なり小なり持っていると思います。

 

 

しかし、こうした悩みに答えてくれる媒体や人はほとんどなく、
また仮に回答を持っていても「何故そういう対応が良いのか?」を営業職に納得させることが出来る説明はもっと少ないと思います。

 

残念ながら、これは管理職においても同様です。
 

 

そこで今回は
「お客様からの要求の断り方とその考え方」について解説します。

 

 

 

 

 

お客様と営業職の立場の現実

 

 

基本的な考え方として、
営業職とお客様ではお客様の方が圧倒的に立場は強いです。

 

【売る側と買う側に上下関係など無い】と主張する方をたまに見ますが、
買う側の商品力が圧倒的でそういう場合もゼロではないという程度であり、全体から見ればかなりレアケースです。

 

実態としてはお客様の立場の方が圧倒的に強く、自由度も高く、
お客様側に選択肢が多くあるのに比べ、
対お客様における営業職側の自由度は低く、
選択肢も少ないです。
 

 

それは何故かと言うと、
『どうしてもあなたの会社のこの商品を買いたい』というお客様に営業職が説明に行くという場合が少ないからです。

 

 

 

営業職の置かれている環境と条件とは、
何もしなくても買ってくれるお客様ではなく、
何もしなければ買ってくれないお客様に、
「ウチの商品を買って欲しい」とお願いしに行くことであり、
またそれが営業活動の基本スタンスです

 

 

そういう意味では、
どんなにカッコいいスーツを着ていても、
どんな大手有名企業の営業職でも、
どんなにスマートなスタイルで営業活動を展開していても、
営業活動の本質は「お願い」です。

 

 

きれいごとや理想論、言葉遊びの全てを排除するなら、
営業という仕事はこうしたモノであり、
扱う商品や業界によって形が多少異なるだけで、
営業活動とは、
【買って欲しいというお願いをお客様に受け入れてもらうための活動】
に他なりません。

 

 

こうしたことを最も簡略化すると、
営業職:頼む側
お客様:頼まれる側
であり、これがそのまま両者の立場の違いになります。
 

 

逆に言えば、
営業職側:「どうしてもおたくの商品を買わせて欲しい」と頼まれる側
お客様:「どうしてもおたくの商品を買わせて欲しい」と頼む側
になれば、先程の構図は少し崩れるということになります。
 

 

何故立場が真逆になるのでなく、
少し崩れる程度にしかならないのかと言うと、
営業職は概ねどのようなお客様に対しても、
自身の会社や自身に対して悪い印象を抱かれることに臆病であり、
その後の紹介や今後の取引も考えてしまい、
どのように優位な立場になっても、
ある程度誠実に謙虚に対応すべきだと考えているからです。

 

こうした事は営業職に限らず、
あらゆるビジネスの売り手に共通する形であり、
宿命です。
 
 

 

このような両者の立場の違いが存在する以上、
営業職はお客様の要求に忍耐強く応え続けることが求められますし、
営業職自身もそれを当然自覚・理解しています。
 

 

「今すぐ見積りを出してほしい」
「見積りはとりあえず3パターン用意して欲しい」
「もっと値段を下げて欲しい」
「買った商品が気に入らないから返品したい」
「今度飲みに行こうよ」
 

 

営業職側から見れば、無茶な要求や無意味なリクエストは山ほどあります。

 

時には嫌がらせに近い要求もあります。

 

それでも大半の営業職はそうと分かっていても、
極力お客様の要求を実現しようと努力します。
特に契約してくれそうなお客様、
あるいは多額の契約を期待できるお客様に対しては尚更そうなります。
 

 

つまり、お客様の要求を極力断らないようベストを尽くすことになります。
 

 

どのように優秀な営業職も
一人のお客様担当者と知り合い、
営業活動を開始した当初は必ずこのようなプロセスを辿りますし、
見方を変えれば、お客様はこうしたやり取りを通じて営業職の価値を値踏みしているとも言えます。

 

 

 

 

 

そんな中発生する、実現不可能な要求に・・

 

 

このように営業職が努力する最中で「断る」以外の選択肢がない要求が必ずお客様から出てきます。

 

当然、営業職はその対応に苦慮することになります。
 

 

出来るだけ断りたくないし、
『お客様にも精一杯対応します』と宣言しているのに、
これだけは承諾できない、そんな場合が一定数発生するということです。
 
 

 

「そんなことできない」
「これは断るしかない」
「さすがにこんな条件は飲めない」
しかも、こうした実現困難な要求は、
契約まであと少しという局面に特に多く見られます。

 

 

契約までの距離が縮まっているからこそ、
お客様の要求が結果として厳しくなるという場合もありますし、
中には契約をちらつかせることでお客様担当者が自身・自社のメリットをギリギリまで最大化しようと試みる場合もあります。

 

 

 

 

 

多く見られる営業職の断り方、その是非

 

 

さて、こんな時営業職はどのように断っているのでしょうか?

 

 

結論から申し上げますと、
多くの営業職は自社に責任転嫁することを試みます。
自社の考え方や方針のせいにします

 

 

つまり、
「個人的にはお客様の要望に応えたいが、会社がそれを許可してくれない。」
というストーリーをお客様に伝えます。
 

 

多くの営業職が日常的に繰り返している行動ですが、
今一度改めてこの行動を冷静に客観的に見つめ直していただきたいと思います。
 

 

まず、こうしたことは多くの営業職が自社と自分自身を全く別の存在と位置づけ、
またお客様もそう見てくれていると思い込んでいる、
或いはそうであって欲しいという希望的観測から発生しています。

 

 

しかし、果たしてそうでしょうか?

 

 

自身が買い物をする時を思い返してください。

 

 

あなたを含めたお客様の多くは、営業職を含めたスタッフとその所属会社やお店を分けて考えるべき存在などと見なしてはいません。
 

 

例えば、
特定のスタッフに好感を抱けば同時にその店や会社の好感度を上げ、
逆の場合はその店や会社への好感度を下げるというだけのことであり、
自身に関わった会社やお店のスタッフがその店や会社を代表して、
お客様からのその店や会社への印象を決めているだけであって、
最初から分けて考えている訳ではありません。
 

 

話を戻しましょう。
そう考えれば分かると思いますが、
お客様担当者から見れば、
あなたはあなたの会社の代表であり、
少し大げさに言えば、
お客様から見ればあなたはあなたの会社そのものだということです。
 

 

確かに相手の営業職を特別に気に入っていて、
その結果としてお客様がその営業職の肩入れする場合はあります。
しかし、大半はお客様から見て営業職とその所属企業は完全に一体であり、

 

 

その点を踏まえて考えれば、
営業職が自社に責任転嫁している状態は
誠実さを欠いた態度に見えるのではないでしょうか?
 

 

契約に有利に働くという場合には自社の存在をPRする一方、
都合が悪くなれば会社の体制や方針に責任をなすりつけるのはお客様から見て誠実さを欠く行為だとは思いませんか?

 

 

 

 

 

おススメの断り方

 

 

私は営業職にヒアリングし、
その場合においてどのように断るのが無難かを助言することはあります。

 

しかし、
一番スタンダードな方法としては
断る理由を
「ウチが儲からないから」とはっきり言うことをおススメします。

 

 

『それは受けられません。
それを受けるとウチが儲からないからです。』
とはっきり言った上で、
その後に儲からない理由を説明する、
ただそれだけです。
 

 

この時、思わず
「申し訳ございません。それは出来ません」
と謝罪の言葉を先に行ってしまう営業職も多いのですが、
謝罪も必要ありません。
厳密に言えば、必要ないのではなく、すべきではありません。
 

 

それは
ビジネスとは金儲けであり、
営業活動とは自社が儲けることを目的としたPR活動である以上、
儲けることが出来なければ断るのは当然であり、
お客様の要求に応えられないこと自体には
お客様に謝罪する理由はどこにもないから
です。

 

 

何故このやり方がスタンダードかと言うと、
最もシンプルで正直な断り方であり、
それ故矛盾もその後の齟齬も生まれないからです。
 
 

 

ビジネスは多くの営業職が口にするようなお客様の利益の為に遂行することではありません。
金儲けです。

 

お客様に貢献する事、
お客様のために何かを行うことは
金儲けのためであり、そのための契約獲得の手段です。

 

サービスを提供し、その対価としてお客様から料金をいただくということはそれ以外の解釈はないと思います。

 

 

これはあるべき論や道徳論ではなく、事実そうなっているということです。

 

自社がお客様に出来る事、営業職に許可する事と許可しない事の線引きは全てこの基準からはじき出されています。

 

お客様の為に仕事をしているなら、
そのような線引きなど存在しないはずです。

 

 

【ビジネスが金儲けであり、
会社の判断は自社が儲かるか、儲からないかだけで決まっている】
それが事実である以上、それを正直に伝えればいい、それだけのことです。
 
 
例えば、
お客様担当者から
「おたくのライバル会社X社が見積り400万で出してきた。
なんで同じ条件でおたくの見積りは500万なんだ?」
などと言われたら
「それはX社さんが400万で十分儲かるからでしょう。
弊社は400万では儲かりません。何故なら・・・・」
というのが最も自然で無理のない説明の仕方です。
 

 

X社への批判も全く必要ありません。
 

 

営業職がその場しのぎの誤魔化しや会社への責任転嫁に終始すればするほど、
自身の説明に矛盾や無理が次から次へと生じます。

 

そうであるならば、最初から正直にお客様に伝えた方が誠実であり、
合理的です。
 

 

この一言、
「ウチが儲からないから」と付け加えるだけで
説明は矛盾や無理が省かれ、分かりやすくシンプルな説明になります。
 
 

 

逆に儲からないから以外の理由でお客様の要望に応えないのは、
はっきり言えば営業職の怠慢であり、
不誠実な対応であるということになります。
 
 

 

出来るだけ、正直に誠実に、
営業の基本は断り方にも当てはまるのではないでしょうか?
私はそう考えます。