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中小企業の営業活動③【専属の営業職がいない場合】

2022.07.08
中小企業の営業活動③【専属の営業職がいない場合】

中小企業の経営者の皆さん、『ウチは積極的に営業活動しても意味がないんだ』『営業するような業界じゃないんだ』そう諦めていませんか?
でも売上は下がっていて、ジリ貧であれば何らかの営業活動は必要ではないでしょうか?

では、営業とは無駄と無意味によって構成されていると理解する事。
次に他のスタッフに意見や情報を求めること、を提案しました。
前回②では主な既存客の過去10年間の月次の売上推移を出し、正確に状況を把握する。
次に売上が激減している既存客にメールし、お会いする事。
そして、その要因を丁寧に聞き取ること!
を提案させていただきました。

 

 

 

 

【ご理解いただきたいこと】

本題に入る前に、申し上げます。
前回同様、今回の内容も全ての中小企業の皆様にピッタリと当てはまる訳ではないと正直にお伝えしておきます。
売上を増やすベストな方法は100社あれば、少なくとも100通りあります。
全く同じ悩みを持っているように見える企業が10社あっても、その解決方法は少なくとも10通りあります。
何故なら、悩みが同じであってもその企業が持つ人員、意欲、経営者の性格や好みがそれぞれ異なり、実現可能な事、やりたい事、やりたくない事もそれぞれ異なるからです。
結果として、誰かが一見合理的な提案をしても、その経営者やスタッフが自らの意志で「これをやろう」と思えなければ、机上の空論でしかありません。
ですので、私が企業に対してアドバイス(どんな営業活動をすべきか)をする時は、【この企業ができること、やりたいと思えることで、売上を増やすことが出来るのはどんな方法か?】という視点で考え、経営者と意見交換を重ねます。
私の提案を「それはやれない」「やりたくない」と拒否しても全く気にしませんし、その場合は別の手段を提案します。

しかし、ブログは不特定多数の方に向けて発信する媒体ですので、これから読んで頂く方がそれぞれどのような状況にあるのかが分からない以上、こうした事は叶いません。
ですので、これから提案する内容はあくまで【まずはこのように考えてみてはいかがでしょうか?】というシンプルな内容をまとめたモノだと思ってお読みください。

 

 

 

 

場面は既存客への訪問時

本題に入ります。
場面は売上が激減した既存客にアポが入り、訪問した時です。

あなたの会社をZ社、あなたはZ社のY社長とします。
そして、訪問先の既存客をA社、A社の担当者をBさんとします。

まずはBさんに時間を取って頂いた事へのお礼を丁寧に言いましょう
そして、過去10年の月次の売上の推移(Bさんにお見せする時はそれぞれの年の月次売上の平均値で構いません)、そしてここ半年の月次の売上の推移もBさんに見てもらってください

こちらがそうであったように、Bさんも漠然と『Z社への注文がここ数年減っているかな?』という程度にしか思っていない、或いはZ社に対して無関心でその売上の推移すら全く把握していない場合もあると思います。
ですので、まずは売上の推移をお見せし、「いかがでしょうか?Bさんのイメージ通りでしょうか?」と聞いてもいいと思います。
とにかくどのような形であれ、BさんがZ社についてどの程度認識していて、どの程度気にかけているのかを確認してください。
この事は営業活動においてとても大切なことです。

さて、ここでポイントです。
少し回りくどく感じるかもしれませんが、大事なポイントなのでじっくり解説していきます。

 

 

 

 

 

商談への誤解

まず【商談=お客様を説得し、こちらの要望を通す交渉の場】という認識を捨ててください
商談はそういう場ではありません。
商談は両者(Y社長とBさん)の現状の認識を共有し、立場の違いを確認する場であり、その次のステップとして、その差を埋める作業です。
(もう少し細かく言うと、その差を埋める作業は商談の場で完結する訳でなく、Z社内の調整なども必要となり、商談のための準備と捉えることも出来ます。或いは、社内調整の結果をメールでBさんに知らせることも可能なので、その場合は商談の場を設けることなく、目的を達成することも出来ます。)

 

 

 

例えば、

Z社のY社長の要望『5年前の水準である月100万円の注文が欲しい(現在月30万)』
A社のBさんの本音『現在は他の会社に注文しているため、100万は難しい。だいたい今まで何のフォローもしてなかったのに、ムシがいいじゃないか?』
だとします。

この場合の現状の認識とは、
『A社⇒Z社の注文:
5年前は100万円⇒現在30万という事実。』
立場の違いとは、
『Z社:現在30万円⇒100万にして欲しい
A社:100万は厳しい』

商談とはこれらを明確にし、その上でこの70万円の差を埋めるという話し合いであり、交渉と言うよりは作業であり、売上を増やすための手段の一つに過ぎません。

そして、その差を埋めるには何が必要なのかを聞き取り、Z社がそれを実現可能なのか(難しいなら代替案を提案してもいいと思います)、もしくは最大限努力してもBさんの要求の一部しか実現できない場合にも少しでも埋めることが出来るのかを確認する場です。
または70万が無理なら、どこまでなら増やすことができるのか、それには何が必要かも聞き取ることです。
何故なら、30万⇒100万なら〇〇がどうしても必要だが、
30万⇒50万なら〇〇までは必要ない。△△程度で十分である、という感じで必要なことが異なるからです。

繰り返しになりますが、これらの一連の流れは交渉であるという意識を捨ててください。
出来るだけ事務的に行ってください。

 

 

 

 

商談の行方を決定づけるモノ

商談とは交渉であり、あらゆる手段やテクニックを使って、相手をコントロールするモノであると思い込んでいる人は多いです。
テレビや小説の世界の影響もあると思いますが、これは誤解です。

何故なら、実際会ってこちらの聞き取りに応じ、いかに協力してくれ、いかに情報を提供してくれ、またこちらの要求を受け入れてくれるかどうかは、実際商談における話し方で決まるのでなく、お会いする前にほとんど決まっています。

お会いすることが決まった時点で、BさんがY社長、もしくはZ社に対して、いかに好感を持っているかでほぼ決まっています。

そして、お会いして対話を重ねていく中において、その好感度が上がるのか、下がるのか、変わらないのかで商談の中でのBさんの反応が決まるだけであって、話し方の巧拙によって左右される部分は少ないです。

ですから、そもそも話術や営業テクニックは必要ありませんし、まして心理戦やゲームではありません

まずはBさんから見て、Y社長が【いかに誠実で好感の持てる人物だと思われるか】がY社長への協力の度合いを決め、商談の行方を最も大きく左右します。

これは余談ですが、営業職の商談や営業活動そのものが上手くいかないのは、実はここをクリアしていないだけという場合がほとんどです。
ですから、商談をうまく自分の意図したところに落とし込もうとするのでなく、お客様から好かれ信頼されることを第一の目的に据えてください。
相手に敬意と感謝を持って接し、例えばBさんから「ここ最近全然フォローしてくれていないじゃないか?」などとZ社の至らぬ点の指摘があった場合にはY社長は素直に謝るべきです。

その上で、可能な範囲で売上が激減した原因を聞きましょう。
相手が言葉を濁した場合は、無理に聞く必要はありません。
それを話してくれるまで、また再訪すればいいだけの事です
最後にこうした場を設けてくれた事への感謝の気持ちを今一度Bさんに伝え、『では、また伺います』と再訪を約束しましょう。
これだけでも大きな前進です。

初めての訪問で、売上が激減している理由やBさんのX社への要望が明らかになる場合も勿論あります。
その場合は自社の問題点や課題が分かったら終わりではありません。
解決できるなら、すぐに対応してください。
仮に到底対応できない要望や課題を突き付けられたとしても、教えてくれたことへの御礼を忘れてはいけません。
どんな状況になろうと、営業活動の第一歩を踏み出すことができたと満足してください。

 

 

 

 

営業活動(商談)の順番とは

相手に誠実で好感の持てる人物であると認めてもらう。
現状の認識と立場の違いを共有する。
立場の違いを埋めるのは何が必要かを聞き取りする。
立場を埋める作業を行う

であって、順番を間違っていけません。
今、目の前にいるお客様と自分の関係がどの段階にあるのかを確認しながら、次の行動を決めてください。

 

 

 

 

まとめ

お会いするのはあくまでスタート。
まずはお客様から誠実で好感の持てる人物であると信頼されることを最初のテーマとしてください。
そして、じっくり時間をかけて次へのステップに進んでください。