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目から鱗のハウツー営業【お客様からの価格交渉】

2022.09.29
目から鱗のハウツー営業【お客様からの価格交渉】

 

 

今回はお客様からの価格交渉(値引きの要請)について解説します。
ざっくばらんに言えば、お客様から「もっと安くしてくれ」と言われることについてどのように考え、どのように受け止めるべきかということです。
 
この価格交渉の考え方は本当に細かなことから始めると膨大な量になってしまいますので、今回は要点だけを挙げ、出来るだけコンパクトにまとめていきたいと思います。

 

 

 

 

 

値引きは契約や売上を増やさない

 

 

 

まず最も押さえておくべき事実にして、あまり知られていないことをお伝えします。
 

 

それは営業職の基本的なスタンスとして、

お客様からの価格交渉に満額回答する(希望通りの金額に値引きする)。

満額でないにしても出来る限り対応する。

全く値引きをしない(出来ませんと断る)。
のどれを選択しようが、長いスパンで見れば皆さんが思っているほど契約獲得数に差は生まれないということです

 

 

 

この事は私を含めた全ての営業職の実体験、肌感覚からすればあり得ないことだと思います。

 

ほとんどの営業職は
【お客様の要望に従って価格を下げた方がお客様は買いやすくなる
⇒価格交渉に応じた方が契約数も増える】
と思っているはずです。

 

そう思っていなければ誰も値引きなどしません。
 

 

 

「御社よりB社の方が安かったからB社にしたよ」「おたくのプランじゃ予算オーバーだから無理なんだ」このように言われて失注になるというケースは全ての営業職が幾度となく経験しているはずです。
 

 

※この記事における「価格が高い」とは相対的に高い(他社と比べて高い)、絶対的に高い(他社とは関係なく高い、または予算的に厳しい)を分けずに両方の意味で使っています。
 

 

ですが、それは個別の案件(価格が高い事になって失注したと思しき案件)が印象に残っていて、全体としての視野を見失っているから思う事です。
 

 

私が何故こんなことを言い切れるのかというと、お客様からの価格交渉に対して値下げを積極的に行い、平均売価が安い営業職の方が獲得契約数が多いというデータも事実も存在していないからです。

 

いやむしろ、概ね成績がいい営業職ほど平均売価が高く(値引き率が低い、或いは価格交渉に応じていない)、成績が悪い営業職ほど平均売価が低いのではないでしょうか?
 
こうした傾向は、同じ会社に所属し、ほぼ同じ条件・同じ価格帯の商品やサービスを取扱っている複数の営業職を比較しても言えることです。
 

 

 

もし価格交渉に応じれば応じるほど契約を獲得できる(あるいは獲得できる確率が上がる)、逆に価格が高いこと(値引き交渉に応じないこと)で失注する可能性が上がるということが事実ならば、そういうケースが個別に発生することはあっても、全体としてこのような結果にはならないのではないでしょうか?
 

 

公平に言うならば、あなたの会社の商品の方が高いのに選ばれたケースもあるはずですし、お客様担当者自身があなたの会社の商品を購入するために社内の予算を上げるよう調整し、購入にこぎつけたこともあるかもしれません。
 
 

 

こうしたことは個人的な感情や感想の一切を排除して、論理的に考えれば、皆さんが思っているほど、価格が契約の成否に影響を与えていないという一つの事実を示しています。

 

(また優秀な営業職ほど価格だけの比較という展開にしないよう心血を注いでいるというのは事実ありますし、優秀な営業職ほど自信を持って交渉に臨めるので価格交渉を最小限に抑えられるのに対して、成績不振の営業職は数字が厳しいが故に目の前の契約欲しさに安易に価格交渉に応じてしまいやすい、そうした側面もあると思います。)

 

 

 

 

 

購入者の立場になって考えてみよう

 

 

 

今度は少し視点を変えて、考えてみましょう。

 

あなたご自身が買い物をする時を振り返ってみてください。

これは100円ショップでなくとも構わないのですが、話を分かりやすくするためにあなたが100円ショップを普段から利用していると仮定します。

あなたは100円ショップの売り場にあるモノは、全て100円ショップで購入しますか?

 

勿論そういう方もいるでしょうが、おそらく多くの方は「これは100円ショップで買おう」「これはもう少しお金をかけてもいい」などという風に買う物の種類によって重要度をランク付けし、100円ショップで買ったり、スーパーで買ったり、量販店で買ったり、高級店で買ったりなどと買い分けているのではないでしょうか?
 
 

 

 

 

 

それが営業職の立場になると・・・

 

 

 

ところが、いざご自身が営業職という売る立場になると、お客様の言い分や要望を真に受け『価格こそが最重要課題』と位置づけ、自社商品の価格だけを見て「ウチの商品は高いなあ」と嘆いてはいませんか?

 

或いは価格が高いことが売れない最大の要因だと決めつけてはいませんか?

 

しかも、自社と他社の商品や製品の品質や特徴の違いなどの比較もせず、お客様に言われるままに額面(価格)だけを見て『高い!』と決めつけてはいませんか?
 

 

しかし、買う側の立場に立てば、そんなことは稀ではないでしょうか?

品質(特徴や好みも含めて)と価格のバランスを見て、割安である、割高であると判断する場合の方が多いのではないでしょうか?

 

一言で言えば、価格ではなく、コスパを見ているということです。

 

価格だけで比較されて他社に契約を取られたという個別の案件に惑わされずに、基本的には価格だけを比較される勝負になった時点で営業活動としては失敗だったと捉える謙虚さがまずは大切なのではないでしょうか?
 

 

私が言いたいのは
価格はあくまで契約の一つの要素であって、最重要要素などではない
一見価格が原因で失注した場合の根本的な原因は価格が高いことでなく、価格のみでの比較という展開にしてしまったことそのものである、ということです。
 
 
 

 

 

 

お客様の共通点

 

 

 

また、多くの場合お客様はご自身の気持ちや購入意欲の度合いを全て正直に営業職に教える訳ではありません。

 

様々な思惑から、全ての情報を明かすことなく営業職に様々な要求をします。

これは価格だけではなく、あらゆる情報においてそうです。

ですから、お客様の言葉をどこまで額面通り受け取るか否かはもともと難しい判断のはずなのです。
 

 

こうしたことは契約を他社に決めた理由をあなたに説明する時も顕著に現れます。

 

他社に決めた理由が本当は「他社の営業職を気に入っているから」だとしても、「他社の方が安かったからだ」と言うケースは十分有り得るでしょう。

 

言いやすい、言いにくいはそのお客様の性格とそれを伝える相手によって異なりますが、あなたの会社の商品やサービスを採用しなかった理由として「価格の問題」というのが比較的言いやすい理由であることは確かだと思います。

 

 

 

 

もう少し俯瞰して見る

 

 

 

また価格交渉が始まる時点からもう少し時間を巻き戻し、かつ俯瞰して見てみましょう。

 

実は、商品や製品の仕様のみならず、他社の価格、あなたの会社の価格、お客様の予算だけでなく、お客様担当者から見たそれぞれの営業職(あなたのライバル会社の営業職を含めた)への心象からかなり多くのことが決まっています。

 

 

 

 

お客様から見た価格の位置づけ

 

 

余程お客様の会社の不利益にならなければ、お客様担当者はどの会社のどの営業職から何をどれだけ買うのかをある程度自由に決めることが出来ます。

 

何故なら、お気に入りの営業職に大目に情報を提供することも、その営業職にとってのライバル会社の動向をそれとなく教えることも出来るからです。

 

つまり、価格とは、お客様担当者が特定の会社の特定の営業職を選んでいく一連の動きの中に存在する小さな歯車のようなものに過ぎないということです。
 
 

 

 

 

具体的にどうすればいいのか?

 

 

ではお客様からの価格交渉には一切応じるべきではないのか?というとそれも現実的ではありません。

 

私は営業職が価格交渉に応じ、値引きをすること自体を否定している訳ではありません。

 

値引きという行為自体はビジネス上、正義でも悪でもありません。
(もっと言うなら、値引きに対する上手いやり方などを追求するのもナンセンスだと思っています。

 

そのようなモノはないと思います。

何故なら、我々営業職が思っている何倍も、お客様は営業職のコントロール下にはなく、上手いやり方でお客様をコントロールできるという事実はないからです。)
 

 

価格交渉に応じなくても契約は獲得できるが、お客様担当者との個人的な付き合いの中で応じるべきだという場合もあるはずです。
 

 

契約一件の重みや価値はその時の営業職の個人的な事情(今月の数字が厳しい、あと少しで予算達成等)によって異なります。

 

その時の状況に応じて、価格交渉にどの程度応じるかを決めても構わないということです。

 

これは営業職の公私混同でもわがままでもなく、自社から予算・目標を課せられている営業職の宿命であり、恥ずべきことではありません。

 

当然の行為です。

 

営業職にとって、自分の数字の状況などを見ながら、社内の規定の範囲内で、個別の案件について自由に価格交渉に応じればいいのです。
 

 

価格が最重要要素などではない、長いスパンで見た時には価格を下げること自体が契約数を増やすことにはならないと理解していれば問題ありません。

 

 

営業という仕事の根本はあくまで【お客様との人間関係の構築】です。

 

ですから、本来価格は下げない方がいいという原則よりも、あなたにとって特に重要なお客様担当者との関係を大切にする、そしてそのための手段としての値引きがあっても何も悪いことではないと私は考えます。
 
 

 

 

 

 

 

営業という仕事の真の姿

 

 

重要な事なので繰り返します。

価格の交渉に限らず、営業という仕事の全ての基本は、本質的にはお客様との人間関係を築くことに他なりません。

 

もっと言うなら、お客様担当者からいかに好かれ、ライバル会社の営業職よりもいかにえこひいきされるかということです。
 

 

昨今のビジネス書を数多く読んでいる方から見れば、非常に違和感のある内容に思えるでしょう。

 

しかし、最も合理的なのは価格の比較どころか、商品やサービス内容以前に、お客様から人間として好かれ、信頼されて「〇〇さんと契約したいな」とお客様担当者に思われる展開を作り出すことです。

 

そうした展開になればなるほど、お客様から契約への最短ルートが示されます。

具体的に言うと、契約に必要な条件、他社の動向などの情報がこぼれてきます。

逆に言えば、他社の営業職にこうした状態を作られれば、そこから状況を打開するのは至難の業でしょう。

 

つまり、営業職同士の戦いとは、「お客様からいかにえこひいきを誘発できるのか?」という戦いであって、価格の存在はそうしたことに比べれば誤差でしかありません
 

 

価格という誤差にとらわれず、あくまでこうした展開を作り出すことに集中しましょう。

 

それが「営業という仕事の真の姿」であり、「営業職の真の姿」だと私は考えます。